参道前の道路を阪堺電車が走る住吉大社(大阪市)

大阪市と堺市を結ぶ阪堺電気軌道(阪堺電車)の住吉鳥居前停留所を降り立つと、住吉大社の樹木と提灯が目に飛び込んでくる。

同大社は、全国に2300ある住吉神社の総本社で、初詣には毎年200万人以上が訪れるという。

その住吉大社のすぐ前の道路を走る阪堺電車は、阪堺線(恵美須町 - 浜寺駅前 14キロメートル)と上町線(天王寺駅前 - 住吉 4.3キロメートル)の2路線を運行しており、住吉鳥居前は阪堺線の中ほどにある。

停留所からほんの数メートル行ったところが参道で、その入り口に立つと、停留所の名称にある鳥居や、住吉大社の象徴とされる反橋(太鼓橋)を見ることができる。

鳥居をくぐり、見た目以上に急な傾斜を持つ太鼓橋を渡れば、樹齢1000年を超える御神木や、多くの文化財が集まるエリアで、緑に囲まれた空間に入ると自ずと厳かな気分になる。

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(画像=住吉大社の象徴とされる反橋(太鼓橋)、「M&A Online」より引用)

海の神であり産業の神

住吉大社の創建は211年で、今から1800年ほど前になる。伊邪那岐命 (いざなぎのみこと)が穢れを清めるために海に入って禊祓 (みそぎはらえ)した際に、海中から出現した底筒男命 (そこつつのおのみこと) 、中筒男命 (なかつつのおのみこと) 、表筒男命 (うわつつのおのみこと) の三神と、神功皇后が祭られている。

3神が海中から出現したことから「海の神」として、航海関係者や漁民の間で信仰があり、奈良時代、遣唐使の派遣の際には、必ず海上の無事を祈ったと言われる。

その後、海上輸運送船業の関係者の間にも信仰が広がり、現在境内にある約600基の石燈籠の多くは運送船業の関係者から奉納されたものという。

また、古くから「農耕の神」としても知られており、当時は農耕が代表的な産業だったことから、「産業の神」としてもあがめられてきた。このため現在は農業関係者のほか、商業や工業の関係者からの信仰もある。

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(画像=底筒男命を祭った国宝の第一本宮、「M&A Online」より引用)

鳥居や太鼓橋は阪堺電車の車内からも

阪堺電車は南海電気鉄道の子会社で、本社は住吉鳥居前駅から3駅堺市寄りの我孫子道駅近くにある。

阪堺線は1910年に設立された旧阪堺電気軌道が起こりで、南海鉄道(現・南海電気鉄道)と激しい競争を繰り広げ、1915年の合併により、南海鉄道の阪堺線となった。

1980年に、南海電気鉄道が平野線を廃止したのを機に、軌道部門を分離し、阪堺線と上町線が「阪堺電気軌道」として別会社となった。

参道の入り口近くにある住吉大社の鳥居や太鼓橋は、阪堺電車の車内からも見ることができる。

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(画像=「M&A Online」より引用)