シニア期の学び直しは、リタイア後の生活の活力になるうえ、新たな交友関係を築くきっかけにもなる。さらに、認知症対策としても有効だ。そこで、学び直しにはどのような選択肢があり、それぞれどれくらいの費用がかかるのかを紹介する。

学び直し (リカレント教育) とは ?

シニア期の学び直し (リカレント教育) 。選択肢やかかる費用、資金確保のコツ
(画像=miya227 / stock.adobe.com)

大人になってからの学び直しのことを一般的に「リカレント教育」と呼び、学校教育を終えて社会に出たあと、再び教育を受けることを指す。リカレント (recurrent) とは、「繰り返す」「循環する」といった意味を持つ。

リカレント教育は主に、新たな資格やスキルを身に付けて昇進や昇給、転職や退職後の就職を成功させることを目的としているが、仕事のためではなく学び直しという行為自体にやりがいを感じ、かつ新たな交友関係を築くために取り組んでいるシニアも少なくない。

ちなみに転職や就職目的ではなく、シニア期をより豊かに過ごすために学ぶ場合は、「生涯学習」という言葉が使われることが多い。

「リスキリング」との違い

リカレント教育と似たワードに「リスキリング」がある。似たような意味合いで使われることもあるが、リスキングは企業が従業員に新たなスキルを身に付けさせることを指し、企業側が実施の主体となるのが一般的だ。

学び直しの選択肢とかかる費用

シニア期における学び直しにはどのような選択肢があり、どれくらいの費用がかかるのだろうか。ここでは、5つの選択肢とそれぞれでかかる費用の目安を紹介する。

国や自治体の制度を利用して学ぶ方法

国の制度を利用する場合、シニアも対象になるものとしては「教育訓練給付制度」がある。雇用保険の加入に関して一定条件を満たした人が対象となる講座を受講すると、一般教育訓練の場合は10万円を上限に教育訓練経費の20%が支給され、専門実践教育訓練ならば最大70%の224万円が支給される。

対象講座は2022年10月時点で1万4,000講座ほどあり、半年間で10万円に満たないものも少なくないが、専門学校や大学で開かれる講座の場合、3年間で費用が400万円を超えるケースも珍しくない。

また、自治体が「シニア大学」といった名称で高齢者に学びの場を提供していることもある。

大学や大学院で学ぶ方法

大学や大学院で学ぶ場合は、「シニア入試枠」や「聴講生制度」を利用することになる。例えば広島大学では、中高年向けのAO入試 (フェニックス方式) を設けている。参考までに、入学料は28万2,000円、授業料は年額53万5,800円となっている (2023年9月現在) 。

通信教育を利用して学ぶ方法

通信教育を通じて学ぶ方法は、民間企業が提供しているサービスを含め多数ある。例えばNHKが設立した「NHK学園」の場合、「自分史~私を書く・家族を書く~」という講座の入門編は、リポート提出回数が4回で3万1,500円といった具合だ。

オンラインサロンを利用する方法

最近では、シニアの学び直しにオンラインサロンも活用でされている。「シニア向け」と銘打っているサロンは多くないので、著名人や専門家などが開設しているオンラインサロンの中から、自分の興味があるものを見つけよう。

例えば、著名人によるオンラインサロンの場合、月額費用が1万1,000円のものもある。

留学する方法

シニア留学も人気だ。英語を学ぶ場合、欧米圏に留学するのか東南アジア圏に留学するのかで、費用は大きく変わる。欧米圏への留学は費用が高めで、年間500~600万円ほどかかるケースも多い。

学び直し費用も踏まえた資金計画が大切

ここまで見てきた通り、シニア期に学び直しをするには、ある程度まとまった費用が必要になる。とはいえ、学び直しによる出費で家計を圧迫してしまうようでは本末転倒だ。

そこで大切なのが、学び直し費用も踏まえて老後の資金計画を立てることだ。より豊かな老後生活を目指すならば、生活費など最低限必要となる資金とは別に、学び直し用等の余剰資金を準備しておきたい。

資金確保には外貨預金がおすすめ

老後の学び直しにかかる資金を無理なく確保するためには、早いうちから資産運用に取り組んでおくことが賢明だ。資産運用にはいくつも方法があるが、ここでは有力な選択肢の一つとなる外貨預金を紹介しよう。

外貨預金のメリット

外貨預金とは、米ドルやユーロなどの外国の通貨で預金することを指す。高金利の外貨を選ぶことで、円預金より大きな金利収入が得られるのがメリットだ。為替レートの変動により、円安になるのを待って外貨を日本円に戻せば、為替差益も得られる。

対象となる外貨の選択肢は決して多くなく、どの外貨で預金をスタートするかを選びやすいことから、初心者でも始めやすい。

10年、20年でこれだけ増える ! 複利効果にも注目

外貨預金に限った話ではないが、資産運用ではリターンを再投資すると複利効果によって資産が膨らむスピードが増していく。

例として、外貨預金で毎年リターンが2%ある場合を見ていこう。初期資産が3,000万円のケースでは、再投資する場合としない場合では以下のように差が生まれる。

期間再投資する場合再投資しない場合
1年後3,060万円3,060万円0万円
2年後3,121万円3,120万円1万円
3年後3,184万円3,180万円4万円
4年後3,247万円3,240万円7万円
5年後3,312万円3,300万円12万円
6年後3,378万円3,360万円18万円
7年後3,446万円3,420万円26万円
8年後3,515万円3,480万円35万円
9年後3,585万円3,540万円45万円
10年後3,657万円3,600万円57万円
11年後3,730万円3,660万円70万円
12年後3,805万円3,720万円85万円
13年後3,881万円3,780万円101万円
14年後3,958万円3,840万円118万円
15年後4,038万円3,900万円138万円
16年後4,118万円3,960万円158万円
17年後4,201万円4,020万円181万円
18年後4,285万円4,080万円205万円
19年後4,370万円4,140万円230万円
20年後4,458万円4,200万円258万円
10年後には57万円、20年後には258万円もの差が生じている。

シニア期の学び直しで人生をより豊かに

シニア期の学び直しは生きる活力になり、日々の生活をより充実したものに変えてくれる。これまで仕事だけを生き甲斐としていた人には特におすすめだ。

ただし、学びに高い質を求めようとすると、ある程度大きな資金が必要になることも知っておきたい。人生をより豊かなものにするためにも、早めに外貨預金などで資産運用を始めてみてはいかがだろうか。

(提供:大和ネクスト銀行


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