主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年2月2日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼1日(木)の為替相場
(1):中国製造業PMIは横ばい
(2):ユーロ圏HICPは伸びが鈍化
(3):BOE 金利を据え置く
(4):米労働関連指標は弱い結果
(5):ISM製造業 1年3カ月ぶりの水準へ上昇
▼1日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:値動きはいつも以上に大きくなる公算/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
1日(木)の為替相場
期間:1日(木)午前7時10分~2日(金)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国製造業PMIは横ばい
豪12月住宅建設許可件数は前月比-9.5%と市場予想(+0.5%)に反して減少した。その後に発表された中国1月財新製造業PMIは50.8と予想通りに前月から横ばいとなった。
(2):ユーロ圏HICPは伸びが鈍化
ユーロ圏1月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.8%と市場予想(+2.7%)を上回ったが、前月(+2.9%)から伸びは鈍化した。エネルギーや食品などを除いたコアHICPも前年比+3.3%に鈍化した(予想+3.2%、前月+3.4%)。
(3):BOE 金利を据え置く
英中銀(BOE)は大方の予想通りに政策金利を5.25%に据え置いた。声明では「政策金利を現在の水準にどの程度維持すべきか検討する」とし、従来の「一段の引き締め」が必要になるとの文言を削除した。議事録では金融政策委員会(MPC)9人のうち6人が据え置きに賛成。2人は25bp(0.25%ポイント)の利上げを主張し、1人は25bpの利下げを主張したことがわかった。また、同時に公表した金融政策報告書で24年のインフレ見通しを2.75%とし、前回の3.25%から下方修正した。ベイリー総裁は、インフレは「正しい方向に進んでいる」としながらも、「仕事が終わった」わけではないと強調。「インフレが目標の2%まで低下し、その水準にとどまるという証拠を利下げ前に見極める必要がある」と述べた。
(4):米労働関連指標は弱い結果
米新規失業保険申請件数は22.4万件と市場予想(21.2万件)に反して前週(21.5万件)から増加。4週平均は20.8万件となり、昨年11月以来の水準に増加した。同時に発表された米10-12月期労働生産性のデータで単位労働コスト(人件費)指数が前期比+0.5%と市場予想(+1.2%)を下回ったことも相まって米労働市場の健全性を巡る不透明感が広がった。
(5):ISM製造業 1年3カ月ぶりの水準へ上昇
米1月ISM製造業景況指数は49.1と市場予想(47.2)を上回り、2022年10月以来の水準に上昇した。ただ、好不調の分岐点である50.0は15カ月連続で下回った。構成指数では仕入価格や新規受注が大きく上昇した一方、雇用は小幅な上昇にとどまった。
1日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:値動きはいつも以上に大きくなる公算
昨日のドル/円は米労働関連指標の冴えない結果を受けて一時145円台後半へ下落した。NY市場に入り米新規失業保険申請件数が予想以上に増加したほか、米10-12月期単位労働コスト(人件費)指数が予想を下回る伸びにとどまるとドル売りが強まった。米1月ISM製造業景況指数は予想を上回ったがドルを買い戻す動きは一時的で米長期金利の低下が続く中、145.89円前後まで下値を拡大した。一巡後は自律的に146円台を回復したが前日比約50銭ドル安・円高の146.42円前後で取引を終えた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が前日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、利下げ開始の時期を巡り労働市場の動向を注視する考えを示したことから、市場は米労働関連指標の結果に敏感になっているようだ。そうした中で本日は米1月雇用統計が発表される。現時点で米金利先物市場が織り込む3月利下げの確率は4割弱。これは、本日の雇用統計の結果次第で織り込みが大きく変化する可能性が高い水準だろう。ドル/円は雇用統計が米労働市場の底堅さを示す結果なら上昇、軟化を示す結果なら下落と是々非々の反応を示すと見られ、その値動きはいつも以上に大きくなる公算が大きい。
注目の経済指標:米雇用統計
注目のイベント:ピルMPC委員発言
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1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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