主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年3月8日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼7日(木)の為替相場
(1):豪貿易収支は予想に届かず
(2):中川日銀審議委員「着実に歩を進めている」
(3):ECB 政策金利は据え置き
(4):米新規失業保険申請件数は前週とほぼ同水準
(5):パウエルFRB議長発言で米6月利下げ観測高まる
▼7日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米雇用統計次第では続落リスクも/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
7日(木)の為替相場
期間:7日(木)午前7時10分~8日(金)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪貿易収支は予想に届かず
豪1月貿易収支は110.27億豪ドルの黒字となり、黒字額は市場予想(115.00億豪ドル)に届かなかった。輸出は前月比+1.6%だったが、石炭類の輸出が小幅に減少した。輸入は前月比+1.3%だった。
(2):中川日銀審議委員「着実に歩を進めている」
中川日銀審議委員は、日銀がマイナス金利解除の条件としている2%の物価安定目標の実現に向けて「着実に歩を進めている」と述べた。2%目標の実現が見通せる状況に至った場合には、イールドカーブ・コントロール(YCC)や上場投資信託(ETF)などリスク資産の買い入れについても「修正の要否について判断することになる」との見解を示した。その後、植田日銀総裁も国会答弁で物価安定目標について「実現する確度が少しずつ高まっている」とあらためて発言した。
(3):ECB 政策金利は据え置き
欧州中銀(ECB)は主要政策金利を予想通りに4.50%に据え置いた。声明では「インフレ率が一段と鈍化した」との認識を示しつつ「物価上昇圧力はなお高い」と警戒感を残した。その上で今後の政策運営は「データ次第」とあらためて表明した。合わせて公表した最新の物価見通しで、2024年のユーロ圏インフレ率が2.3%となり、25年には目標の2.0%に達するとの予測を示した。前回の見通しからそれぞれ0.4%ポイント、0.1%ポイント下方修正した。ラガルド総裁は理事会後の記者会見で「今回の理事会では利下げについて議論しなかった」としながらも、「制約的なスタンスの縮小について討議し始めたところだ」「次回4月より6月の理事会でより多くのことが分かる」などと述べた。さらに「賃金の伸びが緩やかになり始めている兆しがある」と述べたこともあって市場はECBが6月にも利下げに着手するとの見方を強めた。
(4):米新規失業保険申請件数は前週とほぼ同水準
米新規失業保険申請件数は21.7万件と市場予想(21.6万件)を僅かに上回り前週と同水準だった。これより前に発表された米2月チャレンジャー人員削減数は8.46万人(前年比+8.0%)と前月(8.23万人)からやや増加した。
(5):パウエルFRB議長発言で米6月利下げ観測高まる
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は上院で議会証言を行った。証言は前日の下院のものと同内容だったが、その後の質疑応答で「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信が強まるのを待っている」とし、「その確信を得た時点で、『今から遠くない』その時点で景気抑制の度合いを巻き戻し始めるのが適切になるだろう」と発言。これを受けて市場では6月利下げ観測が高まった。148.30円付近まで値を戻していたドル/円は、これを受けて失速。一方、ユーロ/円などのクロス円はストレートドルの上昇や株高を受けて続伸した。
7日(木)の株・債券・商品市場
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ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:米雇用統計次第では続落リスクも
昨日のドル/円は終値ベースで約0.9%の大幅安となった。日銀が月内にもマイナス金利の解除に踏み切るとの観測で円が上昇した一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が「そう遠くない時点」で利下げに着手するとの見方からドルが下落。ドル/円は一時1.2%安の147.58円前後まで下値を拡大し、2月2日以来の安値を付けた。日足は直近のレンジを下方ブレイクする大陰線で下落圧力の強さを物語っている。ただ、中期的に見れば年初来の上げ幅の38.2%押し(147.02円前後)には達していないことから、上昇トレンドはなんとか維持していると見ることもできる。
それだけに、本日のNY市場で発表される米2月雇用統計が重要となりそうだ。雇用統計を受けて反発すれば、ひとまず底打ち感が出そうな反面、26週移動平均線(147.83円)や38.2%押しの147.02円前後を下抜けてクローズするようなら、来週以降の続落リスクが高まる可能性もある。なお、雇用統計の市場予想は非農業部門雇用者数が20.0万人増、失業率は3.7%、平均時給前年比+4.3%などとなっている。
注目の経済指標:米2月雇用統計
注目のイベント:ウィリアムズNY連銀総裁発言
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1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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