扱いやすさとスポーツ性能を両立し、楽しさの幅が広がっている!

スズキのスポーツバイクの新基準! GSX-8Rは街乗りからツーリングまでオールラウンドで楽しめる‼
(画像=「Moto megane」より引用)

スタートボタンを一押しすると、スズキイージースタートシステムのおかげですぐにエンジンがかかった。スズキドライブモードセレクターは基本となるBモードにセットし、まずは市街地での走りをチェックしてみた。

ギヤを1速に入れるとローRPMアシストでアイドリング回転数が少し上がる。スロットルを少し開けてクラッチを繋いでいくと、車体はスルスルと発進していく。エンジン回転の落ち込みが少なく、低速トルク自体にも粘りが感じられてエンストしそうな気配は一切なかった。さらにスロットルを開けていくと、トルクの立ち上がりを感じつつ、車体はスムーズに加速していく。クイックシフターのおかげでクラッチレバーを操作しなくても、シフトペダルだけでスムーズにシフトチェンジも決まる。Bモードはスロットル操作に対するレスポンスがシャープすぎず、加速も速すぎず遅すぎずで、上半身を起こした姿勢でライディングしていてもスムーズなマシンコントロールがしやすかった

Aモードはスロットル操作に対するレスポンスが速く、全域でシャープな加速を発揮する。どのエンジン回転域でもツキがいいので、交通量の多い市街地では速すぎると感じるほど。加速がシャープなので車体の荷重移動量も多くなり、上半身を起こした姿勢では加速・減速時に車体がギクシャクした挙動になりやすい。その代わり、270°位相クランクらしい鼓動感のある回転上昇も体感しやすく、乗りこなす楽しさを一番感じられるモードだった。

Cモードはスロットル操作に対するレスポンスが全域でマイルド。発進時にはトルクの細さを感じることもあったけれど、ローRPMアシストのおかげでエンストは一切しなかった。A/Bモードはリヤタイヤが路面をしっかりとグリップして加速していく感じが伝わってくるが、Cモードはそうしたグリップ感が薄く、ゆるゆると加速していく。800ccクラスの加速としては物足りないが、荷重移動も少なくなりマシン挙動も安定している。雨天時やキャンプ場のダートといった滑りやすい路面でもマシン挙動が乱れにくく、ツーリングでの雨や疲労時に乗りやすさを感じるモードだと思った。

どのモードでもフロントタイヤの接地感はハッキリと伝わってきて、直進安定性は高い。それでいて街中の緩いコーナーや交差点を曲がる際に車体を傾けると、スッと車体の向きを変えられる。ハンドルが切れ込みすぎず、車体もグラつかないのは車体の重心バランスがいいからだろう。各モードで違いが出るのはコーナーや交差点をクリアした後の加速だ。個人的にはBモードの加速が自然で、8Rは街乗りもしやすいバイクだと思えた。ハンドル切れ角は8Sの35°から32°になり、最小回転半径は2.9mから3.2mへと大きくなったが、実際にUターンした際には気にならなかった。

8Sとの違いを感じるのは高速道路、サーキット、ワインディングだ。サーキット走行は試せなかったが、高速道路での巡航時にカウルのおかげで上半身に当たる走行風が低減されているのを体感できた。セパレートハンドルは上半身を伏せた姿勢をとりやすく、サーキットでのハイスピード走行時でも防風効果を体感できるはずだ。

そのセパレートハンドルはライディングポジションの自由度が高く、上記のように伏せた姿勢をとったり、フロントタイヤに積極的に荷重をかけやすい。車体の寝かし込みや切り替えしで重さを感じにくく、前後ブレーキの制動力は充分かつコントロールしやすく、さらにハンドリングにクセもないので、8Rは狙ったラインでコーナリングがしやすい。

スズキのスポーツバイクの新基準! GSX-8Rは街乗りからツーリングまでオールラウンドで楽しめる‼
(画像=「Moto megane」より引用)

今回の試乗は乾いてグリップのいい路面ばかりだったので、走行中にトラクションコントロールが作動することはなかった。またABSも故意にリヤタイヤをロックさせた以外は作動しなかった。それでもこうした機能が標準装備されているのは、不意の状況でマシンコントロールをサポートしてくれるので安心感につながっている。

8Rのコンパクトな車体は重すぎず、エンジンも適度にパワフルでトルクも粘るので、市街地で乗りやすく、高速道路ではカウルのおかげで快適に移動でき、ワインディングやサーキットでは自由度の高いライディングポジションもあって積極的なマシンコントロールがしやすい。エンジン特性はSDMSでライダーの好みやスキルに合わせて変更できるので幅広い場面で扱いやすく、スポーティな走りもツーリングでのゆったりしたクルージングも楽しめる乗り味になっている。

8Rは、セパレートハンドルやフルカウルのモデルが初めてというビギナーや、再び乗ってみようと思っているリターンライダーにもオススメのモデルで、積極的にマシンコントロールを楽しみたいライダーには最良の相棒となってくれるはずだ。

●全長/全幅/全高2,115mm/770mm/1,135mm
●装備重量205kg
●ホイールベース1,465mm
●シート高810mm
●エンジン型式水冷4サイクル並列2気筒DOHC4バルブ
●総排気量775㎤
●最高出力59kW<80PS>/8,500rpm
●最大トルク76N・m<7.7kgf・m>/6,800rpm
●燃料消費率(WMTCモード値)23.4km/ℓ(1名乗車時)
●燃料タンク容量14ℓ
●ブレーキ形式前ダブルディスク、後ディスク
●タイヤサイズ(前/後)120/70ZR17M/C(58W) / 180/55ZR17M/C(73W)
●ボディカラートリトンブルーメタリック、マットソードシルバーメタリック、マットブラックメタリック№2
●価格1,144,000円(税込)