多くのM&Aで成長
コロワイドは1963年に創業し、1977年に手作り居酒屋「甘太郎」逗子店(神奈川県)を開店したのが現在のビジネスの始まりとなる。
2000年に東京証券取引所第二部に上場した後は、多くのM&Aを繰り返し実施してきた。2002年に平成フードサービス、ダブリューピィージャパン、明治製菓リテイルを子会社化し、2004年に贔屓屋、アムゼを、2005年にはがんこ炎、アトム、ワールドピーコムを子会社化した。
さらに2006年には宮、シルスマリアを、2008にはバンノウ水産を、2012年にはレックス・ホールディングスをそれぞれ傘下に収めた。
この後は事業の柱となるような企業の買収が続く。2014年は回転ずしチェーン「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトを買収し、2016年はハンバーガーチェーンのフレッシュネスを、2020年には定食店の大戸屋ホールディングスをグループに取り込んだ。
コロナ禍の中では、影響の長期化に伴う業界の変化を見極めるためにM&Aを抑制していたが、今回積極策に転じ、ニフスとアミス、日本銘菓総本舗の子会社化に踏み切ったのだ。
同社の業績はコロナ禍の影響の大きかった2021年3月期に、事業損益(売上高から売上原価と販管費を差し引いた額)が81億4600万円の赤字に陥った。
店舗の臨時休業や時短営業をはじめ宴会需要などが激減し、居酒屋業態を中心に厳しい状況にさらされたのが要因だ。
2022年3月期は黒字転換し、事業損益は61億3300万円の黒字を確保したものの、2023年3月期は再び1億9600万円の事業赤字に転落した。
これは将来的にリスクが生じる恐れがあるものなどを整理し一過性の費用として減損損失70億6100万円を計上したことなどによるもので、2024年3月期はこうした費用を計上しないため、再び黒字化し79億6700万円の事業利益を見込む。
この事業利益額はコロナ禍前の2019年3期の84億9900万円には届かないものの、94%ほどに達する水準だ。ちなみに2024年3月期の売上高は2450億500万円で、こちらは2019年3月期の2443億6000万円を上回ることになる。
2030年3月期に売り上げ5000億円に
コロワイドが2023年5月に公表した新中期経営計画「COLOWIDE Vision 2030」では、国内外食事業を中心としつつも、成長が見込まれる海外外食事業や給食事業(病院・介護施設)を伸ばし、2030年3月期に売上高5000億円を目指す計画だ。
事業構成は国内外食事業が50%(2023年3月時は86.7%)、海外外食事業が30%(同13.1%)、給食事業20%(同0.2%)といった割合を見込む。
この割合を金額に直すと、2023年3月期に1914億円だった国内外食事業が2500億円に、289億円だった海外外食事業が1500億円に、4億円ほどだった給食事業が1000億円に伸びる計算になる。
これらを合わせると、3000億円近い売上高の上積みが必要となる。
この目標を達成する第一歩となるのが、2024年3月期から2026年3月期までの3カ年の中期経営計画ということになる。
国内外食事業では、積極的出店や改装による既存店のてこ入れのほか、M&Aによる新たな成長事業を獲得していく計画だ。
海外外食事業では、既存地域での積極的な出店や成長が見込まれる新たな地域への進出などに取り組み、給食事業では、M&Aによる大幅な事業拡大を目指す計画という。
2023年3月期の2208億3000万円から7年間で2倍以上の5000億円に伸ばすためには、非連続な成長を可能にするM&Aは不可欠な存在となりそうだ。
文:M&A Online