シニアになると多くの場合、現役時代よりも収入が減る。そのため、現役時代と同じような金銭感覚で買い物をし、支出の規模が変わらないと長生きした際の生活資金に不安が出てくるだろう。

そこで提案がある。せっかく買い物をするのであれば「資産」を買うように心がけてみてはいかがだろうか。本記事では、資産を買うことで得られる楽しみを紹介しながら資産運用の基礎知識を解説する。

現役時代と買い物のペースを変えられないと……

気をつけたい、シニアの衝動買いや買い物依存症。せっかく買うなら「資産」を
(画像=Seventyfour / stock.adobe.com)

衝動買いや買い物依存症などで、収入が減っているのに支出を変えることができないと貯蓄にどのような影響を与えるのだろうか。ここでは、以下のデータを参考にシミュレーションしていく。

なお、単身世帯の消費支出の平均額 (令和4年) は16万1,753円だが、買い物によって支出がやや上振れしているケースを想定し、月間20万円 (年間240万円) の支出が維持されるとする。

65歳から労働収入が得られなくなり、厚生年金保険を毎月14万4,982円受給するのみとなった場合、年間収支は以下のように65歳からマイナスとなる。つまり貯蓄は、この時点からどんどん減っていく。

年齢年収年間支出年間収支
55~59歳546万円240万円306万円
60~64歳441万円240万円201万円
65~69歳173万9,784円240万円-66万216円
出典:国税庁 / 厚生労働省

「買う」という行為には楽しさがある。しかし、年間収支がマイナスになっていくのであれば、消費で終わる買い物ではなくお金を増やせる買い物をしてみてはいかがだろうか。つまり、資産を買ってその資産を運用することを提案したい。

資産を買うとどんな良いことが起きる ?

資産を買うメリットは、多岐にわたる。例えば買った資産から収入を得られるようになれば、年間収支がマイナスになったとしても、働くことなく補填することもできるだろう。資産から得られる収入によって年間収支が大きくプラスになる場合は、たまに消費の買い物をするのもアリだ。

また、資産は買って終わりではなく、買ってからがスタートといえる。自分が持っている資産から生み出される収入が徐々に増えていけば、ワクワク感も味わえる。この感覚は、消費で終わる買い物では体験できないものだ。

さらに、ローンやクレジットカードの審査の際、資産を保有していることが信用力につながることもある。

どんな資産を買えばいい ?

では、どんな資産を買えばいいのだろうか。大前提として、資産価値が上がる可能性があるものを購入する必要があるが、買うべき資産を選別するための視点を3つ紹介しよう。

1. 流動性があるかないか

資産運用における「流動性」とは、現金化のしやすさを指す。シニア層になると長期で資産を固定することに抵抗がある人も多いが、流動性が高い資産であれば急な資金需要が発生しても困らない。

2. 価格変動が穏やかかどうか

価格変動が激しい資産を保有していると、ストレスを感じてしまいやすい。価格変動幅のことは「ボラティリティ」と呼ぶが、資産はこのボラティリティが穏やかな資産を選ぶのがおすすめだ。ボラティリティが激しいと換金時に思った価値にならない場合があるので注意が必要だ。

3. 安定したインカムゲインを得られるかどうか

資産運用で得られる利益の種類には「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類がある。キャピタルゲインは資産を売却した際に得られる利益、インカムゲインは資産を保有中に得られる利益のことを指す。インカムゲインがある資産を保有すれば、ベースの資産を保持したまま、堅実に資産形成を進められるだろう。

安定したインカムゲインが魅力の外貨預金

安定したインカムゲインを得られる資産運用の手法として「外貨預金」がある。

外貨預金で資産を増やす仕組み

外貨預金は、円預金よりも大きな金利収入をインカムゲインとして得られるのがメリットだ。また、円安になると保有している外貨の価値が上がるため、売却することによってキャピタルゲインが得られる可能性もある。

為替レートが円高になると売却で損失が出る (=キャピタルロス) こともあるが、インカムゲインはたとえ円高になったとしても、その外貨を保有している限り安定的に得ることができる。

「一括」「積立」の選択肢も

外貨預金には、普通預金のほかに「一括」「積立」の選択肢もある。ある程度まとまった金額を用意し、一括で外貨預金を行った場合、最初から大きなインカムゲインを得やすい。ただし保有外貨も多くなるため、キャピタルロスの額も大きくなりやすい点は押さえておきたい。

一方で積立の場合、最初は残高が少額のためインカムゲインは小さい。ただし、キャピタルロスが発生してもその分、額を小さく抑えられる点はメリットといえる。こうしたメリットとデメリットを比較し、自分に合った方法で外貨預金を始めたい。

「せっかく買うなら資産を」という発想を

買い物は、日常的にする行為の一つだ。それだけに買い物に対する概念を変えることで、自分の資産に大きな影響を与える。「せっかく買うなら資産を」という発想を持ち、これからは資産を増やすための買い物を日常的に楽しんでみてはいかがだろうか。

(提供:大和ネクスト銀行


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