この記事は2024年6月5日(水)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「西原宏一氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。
2024年6月5日(水)の午前10時すぎに、現役トレーダーの西原宏一さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。
現在の為替相場の傾向や相場観
昨日4日(火)のNY時間の米ドル/円は反落。一時155.00円割れまで急落している。要因はまず、日銀。ロンドン市場で「日銀は早ければ13~14日の金融政策決定会合で長期国債の買い入れ減額について具体的な方針を示すことの是非を議論する公算」との報道が伝わると、米ドル/円は下落開始。
次に4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が805.9万件と予想の835.5万件を下回ったことが分かると、ドル金利低下から米ドル/円は続落。加えて、インドやメキシコの選挙で現地市場が不安定になったことによるリスクオフの要素も加わり、米ドル/円は一時154.54円付近の安値をつけた。
リスクオフの流れになったことで、ユーロ/スイスフランの反落(=ユーロ売り)が、ユーロ/円の下落を加速させ、ユーロ/円も168.09円まで急落している。
現在の為替相場の戦略やスタンス
日足のシーケンシャル(西原氏が使用しているインジケーター)が米ドル/円のトップアウトを示していたように、米ドル/円は反落。
通常なら、このインジケーターどおり米ドル/円はショートということになるが、米ドル/円は調整の下落を取りに行くのが難しいためいったん様子見。注目はスイスフラン。先週SNBは突然スイスフラン安に懸念を示した。
スイス国立銀行(以下SNB)のトーマス・ジョーダン総裁は今週、高水準のインフレに対抗するため、外国為替売り介入の可能性を示唆した。 MUFG Bank Ltd.(三菱UFJ銀行)のリー・ハードマン氏など市場ストラテジストの見解では、スイスフランのさらなる弱体化は、中央銀行の利下げペースを鈍化させ、あるいは外貨売り介入を促す可能性がある。スイスの中央銀行が今回のサイクルでG10の中央銀行として初めて利下げを実施したことを受け、スイスフランは今年第1四半期に大幅に下落した。「このコメントは、SNBが今後のスイスフランの下落に対してより寛容でなくなることを明確に示している」とハードマン氏は述べた。
(出所:ブルームバーグ)
今年スイスフランは(円以外の)主要通貨に対して大幅に急落。スイスフランがあまりに急速に劣化すると、利下げするのが難しくなる。
確かに確実視されていたSNBの6月20日の利下げも43%まで低下している。SNBは、利下げを行うために、急激なスイスフラン安は認めないという方針に切り替えた模様。これはかなり重要。SNBがスイスフラン安に誘導していた局面では、当然主要通貨に対してスイスフランは急落している。
唯一スイスフランより弱含んでいたのが、日本円だ。そうした状況下、SNBがスイスフラン安に対して、警告を出したということはスイスフラン/円は 上昇することになる。結果、スイスフランに対して強気スタンスに変更。
今週、米ドル/円は調整局面入りしているためスイスフラン/円は押し目待ちで、ユーロ/スイスフランの戻り売りで臨みたい。
▽ユーロ/スイスフラン 日足チャート
*:当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。