この記事は2024年6月17日に「CAR and DRIVER」で公開された「メルセデス・ベンツEQBが商品改良。新バッテリーを搭載して航続距離を延長」を一部編集し、転載したものです。
メルセデス・ベンツの7シーター電気自動車SUV「EQB」がマイナーチェンジ。総電力量を70.5kWhにまで引き上げた新リチウムイオンバッテリーを搭載し、一充電航続距離はEQB250+で557kmまで延長。新世代の運転支援機能「ドライビングアシスタンスパッケージ」も装備
メルセデス・ベンツ日本は2024年6月13日、7シーター電気自動車SUV「EQB」の一部改良を実施し、同日より予約注文の受付を開始した。
車種展開は以下の通り。
EQB250+:811万円
EQB350 4MATIC:899万円
なお、ユーザーへの納車はEQB250+が同日より、EQB350 4MATICが本年7月下旬頃より実施する予定である。
今回の改良は、新バッテリーの搭載および航続距離の延長や内外装デザインの一部変更、機能装備の拡充などを図ったことが特徴である。
押出成形のフレーム内に収めてフロントアクスルとリアアクスルの間のフロア下に配置する新しい駆動用リチウムイオンバッテリーは、総電力量を従来の66.5kWhから70.5kWhへとアップ。パワーユニットはEQB250+が最高出力140kW/3550~7000rpm、最大トルク385Nm/0~3550rpmを発生する電動モーターをフロントアクスルに搭載して前輪を駆動し、EQB350 4MATICはフロントアクスルに最高出力143kW/5800~7600rpm、最大トルク370Nm/0~3600rpmを発生する電動モーター、リアアクスルに最高出力72kW/4500~1万4100rpm、最大トルク150Nm/0~4500rpmを発生する電動モーター、前後合わせて総出力215kW/520Nmを発生する動力源を搭載して4輪を駆動する。一充電航続距離はWLTCモードでEQB250+が従来の520kmから557kmに伸長。交流電力量消費率はWLTCモードで149Wh/kmを達成する。さらに、車体へのモーターの搭載方法を工夫し、モーターからの振動や騒音が車内に伝わらないよう配慮して静粛性をより高めた。EQB350 4MATICの航続距離および交流電力量消費率に関しては、後日アナウンスする予定である。
充電に関しては、6.0kWまでの交流普通充電と100kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応したシステムを採用する。急速充電では、電池残量10%から80%までCHAdeMO充電器(90kWタイプ)にて約51分で充電。自宅などでの普通充電では、メルセデス・ベンツの提供する充電用ウォールユニット(定格30A/6kWタイプ)であれば約11時間23分でフル充電できる。また、車外へ電力を供給できる給電機能(V2H/V2L)も設定した。
シャシー面については、長距離走行でも疲労の少ない高度な快適性と、思いのままのハンドリングを実現するローワードコンフォートサスペンションを標準装備。AMGラインパッケージ装着車には、走行状況に合わせて減衰力を自動調整する電子制御ダンパーを組み込んだアダプティブダンピングシステム付サスペンションを採用した。
エクステリアに関しては、従来と同様にメルセデス・ベンツのデザインの基本思想である「Sensual Purity(官能的純粋)」をコンパクトSUVのなかでさらに突き詰め、シンプルかつシームレスで、すべてが1つの塊に溶け合ったような“プログレッシブ・ラグジュアリー”の先進スタイルを創出する。また、一部ディテールの見直しも図り、立体的なスターパターンをあしらった新デザインのフロントグリルや、よりスタイリッシュになった新造形のフロントバンパー、内部のアレンジを変えた新リアコンビネーションランプなどを採用して、先進性と存在感をいっそう高めた。さらに、標準仕様のエレクトリックアート(Electric Art)ラインには新デザインの18インチアルミホイール(97R)を組み込んで、足もとの力強さを強調する。ボディカラーについては、新色としてハイテックシルバーとスペクトラルブルーをラインアップに加えた。
内包するインテリアは、より直感的な操作が可能な3本ツインスポーク本革巻きステアリングを装備したことがトピック。ナビゲーションおよびインストルメントクラスター内の各種設定や安全運転支援システムの設定を手元で完結できる機能性を有し、さらに従来はタッチコントロールボタンへの接触やステアリングホイールにかかるトルクで判定していた、アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック使用時のハンズオフ検知機能のために、新たにリムに静電容量式センサーを備えたパッドを採用する。これにより、ステアリングホイールにかかるトルクがなくてもドライバーがステアリングホイールを握っていることが認識され、アクティブディスタンスアシスト・ディストロニックの使い勝手を向上させた。また、センターコンソールに設置していたタッチパッドを廃止し、すっきりとしたインテリア造形に仕立てる。さらに、夜間走行時に無数のスリーポインテッドスターを助手席前部のインテリアトリムに浮かび上がらせるスターパターンインテリアトリム(バックライト付)を標準で装備した。機能装備の拡充も図り、第2世代の対話型インフォテインメントシステム「MBUX」および10.25インチメディアディスプレイやMBUX AR(Augmented Reality=拡張現実)ナビゲーションを標準で装備。また、MBUXインテリア・アシスタント、ヘッドアップディスプレイ、Burmesterサラウンドサウンドシステムなどをオプションで設定している。
3列式のシートについては、レザーARTICO/ファブリックシートを標準で、レザーARTICO/MICROCUTシート(AMGラインパッケージ)と本革シート(AMGレザーエクスクルーシブパッケージ)をオプションで採用。前席はコンフォートシートを標準で、スポーツシートをオプションで設定し、3名掛けの2列目シートには60:40分割の前後スライド機構と40:20:40で前方に倒せる分割可倒機構を、2名掛けの3列目シートには50:50分割可倒機構を組み込む。ラゲッジスペースは3列目シート使用時で110リットル、3列目シート格納時で465リットル、2/3列目シート格納時で1620リットルの容量を確保した。
セーフティ機構の強化にも抜かりはない。従来の運転支援機能(レーダーセーフティパッケージ)に代わって、国際的な規格(UN-ECE R152)に準拠した新世代の運転支援機能「ドライビングアシスタンスパッケージ」を採用。また、初めて電気自動車を保有するユーザーの不安解消につなげる安心のプログラム「EQケア」と充電サービス「Mercedes me Charge」を設定している。
(提供:CAR and DRIVER)