この記事は2024年6月18日に「CAR and DRIVER」で公開された「【買っておきたい21世紀名車】超一級の速さを誇る進化するレジェンド。R35型・日産GT-Rの肖像」を一部編集し、転載したものです。
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類まれな個性。いつ乗っても凄い重量級スーパー4WD
R35のGT-Rは世界を見渡しても他に例を見ない高性能モデルだ。なぜならこのクルマは「重さを速さに変換」しているから。「軽さは正義」というスポーツカーの常識を見事に覆してしまった。
デビュー当時のこと。私はとある高性能スポーツカーの試乗でアメリカのテストコースにいた。そのスポーツカーを担当したエンジニアにGT-Rの凄さを語った。すると彼は「そんなことはあり得ない。スペック(重量)と実性能(加速)の辻褄が合っていない」と言い放った。同席していたヨーロッパのジャーナリストたちも、みな懐疑的な表情だった。「実際に試してみてよ」。そう話を締めくくるしかなかった。
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R35は、それくらい常識破りで挑戦的だった。だからこそ2007年末のデビュー以来、改良に改良を重ねて17年経ったいまもなお世界一級の性能を誇っている。個性的なガンダム・スタイルを含めて、国産スポーツカー界における金字塔である。
そんなR35も年々厳しくなる騒音や環境規制により販売できる地域が絞られてきた。部品供給の問題もあって2025年モデルが最後と発表されている。最新のラインアップは標準車、究極のGTを目指したTスペック、至高のサーキット性能を持つNISMOである。中でもR35が「ついにここまで来た」と驚いたのがTスペックだった。
私がデビュー当時に購入したR35はとてつもない高性能の代償として、実にさまざまな不都合(ミッションの音や乗り心地の硬さなど)に耐えなければならなかった。ところがTスペックに乗ると見事に解消されている。ミッションやインパネデザインにこそ古さを感じたものの、車体の動きや乗り心地、変速フィールは見事に最新のライバルを射程に収めている。
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発進時の重厚感は薄らぎ、ステアリングのキレはあくまでも軽やか、それでいて地面を蹴る力はというと圧倒的に確実で強烈である。街中でドライバーを内臓ごと突き上げるような不快なショックはもはやない。低速域から快適とさえいえる乗り心地を提供する。
本当にいいクルマになった。これまで乗り味に辟易として手放したオーナーも多かったはず。彼らにこそもう一度「最新のR35」試してもらいたいと思う(最新型は入手が難しいが……)。
とはいえ初期モデルを愛用した身には寂しさもある。ガシャガシャとうるさく重戦車のような乗り味を恋しく思うのだ。
日産GT-R主要諸元
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モデル=2012年式GT-Rブラックエディション
新車時価格=6MT 941万1000円
全長×全幅×全高=4670×1895×1370mm
ホイールベース=2780mm
トレッド=フロント:1590/リア:1600mm
車重=1730kg
エンジン=3799cc・V6DOHC24Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力 kW(ps)/rpm=404kW(550ps)/6400rpm
最大トルク Nm(kgm)/rpm=632Nm(64.5kgm)/3200〜5800rpm
JC08モード燃費=8.7km/リッター
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:255/40ZRF20/リア:285/35ZRF20
駆動方式=4WD
乗車定員=4名
0→100km/h加速=2.8秒
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(提供:CAR and DRIVER)