本記事は、高橋慶行氏の著書『投資1年目の教科書』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

ルール
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自分だけの取引ルールを作ろう

この項目の3つのポイント
  1. 売買ルールは安定利益のためにとても大切。
  2. 最初はプロの取引ルールを真似よう。
  3. 最後は自分だけの取引ルールを作り上げよう。

株式投資やFXなどで利益を上げようとしても、初心者投資家はいつ買えばいいのか、いつ売ればいいのか、どうすれば利益が得られるのかということがわかりません。学校で習わなかったので、本やセミナーやインターネットの情報などを通して、実績があるプロから、どのような運用をすれば成功できるのかを学ぼうとします。

インターネット上で情報を発信している専門家の中には、自分が利益を上げ続けている売買ルールを公開し、自分と同じようなポイントで注文をし、自分と同じようなポイントで決済するように指導をするスクールなどを運営しているケースがあります。またそのようなプロのトレードスタイルを組み込んだ自動売買システムやAIシステムなどを販売している業者もいます。

大切なお金のことであるにもかかわらず、自分に知識がないのでついつい実績がある専門家の話を鵜呑みにしてしまいがちになります。しかし投資というのはすべて自己責任なので、しっかりと学び自分だけの取引ルールを作り上げていかなくてはなりません。このような心構えを持つことがとても大切です。

トレードルールという言葉があります。投資をする上での決めごとをルール化したもので、安定した利益を上げるためにはとても大切な約束事になります。投資をする上で最も大切なことは、安定した利益を継続して手に入れていくことです。一攫千金のホームランを狙うような投資は、実際には一度に財産を失ってしまうような投資につながる可能性が高いものです。

最も大切なことはトレードをするにあたってのルールをしっかりと守り、継続して利益を上げていくことではありますが、継続して利益を上げるという点においては自分だけのトレードルールを作るという姿勢が必要となります。

トレードの手法というのは数え切れないほどあります。したがってトレードルールも数え切れないほど作ることができます。確実に勝てるトレードルールが存在し、そのトレードルールを実践すれば確実に利益が上がるという幻想を持っている人もいます。しかし他人が作ったトレードルールがそのまま自分にも当てはまり、しかもそれを縦横無尽に使いこなせて、その結果利益がうなぎのぼりに増えるようになることはまずあり得ません。

トレードルールというのは自分の目標利益や投資用資金、自分の性格や日常的に使える時間、使える時間帯など、自分だけの条件を加味して自分流に作っていくものです。仮に実績が上がっている投資家のトレードルールを教えてもらったとしても、その方法はその投資家だからこそ利益が上がる方法であって、自分に合うかどうかはまったく別の話です。

損切りや利食いの基準も違いますし、タイミングも人それぞれです。またメンタルの強さや性格も違います。勝率重視の人もいれば、勝率1割でも稼いでいる人もいます。勝率が低いと気持ちがもたない人もいれば、逆に闘志が湧く人もいます。リスク許容レベルも違います。

トレードスタイルはさまざまな要素の組み合わせであり、当然ですが人それぞれでトレードスタイルが違います。同じスタイルの人はいません。

いわゆるスイングトレード(2、3日~数週間の期間で売買を完結させるトレード)に慣れている人もいればデイトレード(1日のうちに何回も完結させるトレード)に慣れている人もいて、慣れているロスカットレベルも違います。

たとえば、自分が買いポジションを持っているときに移動平均線が右肩上がりになっているとします。ある人のトレードルールは、移動平均線が右肩上がりのときにポジションを持っているのであれば持ち続けていいとしています。しかしあなたは、そのトレードルールを信じ続けられるでしょうか。

実際に移動平均線が右上がりでも、価格が急落してその後に移動平均線が右肩上がりから右肩下がりになることはいくらでもありますから、移動平均線が右肩上がりであってもときと場合によっては、決済をして利益を確定してしまったほうがいいこともあります。どんなトレードルールでも他人が作ったものであれば、ルール外の出来事が生じたときには自分の判断で取引をしないといけなくなります。しかし、これが「ときと場合に」よる、つまりルールなしの感情任せのトレードをしてしまうと、結果として安定利益を出すことは難しくなります。だから自分で信じ続けられるトレードルールを自分で作らなければならないのです。

トレードルールはとても大切なものです。勝率の高いトレードルールを作り、そのトレードルールに磨きをかけ続け、そのルールの理屈までしっかりと理解し、そのルールを心から信用して守り続けることができれば、結果として安定した利益を実現することができるようになります。

100%勝てるやり方を探すのではなく、勝率の高い投資家の売買手法を参考にし、参考にした売買ルールを自分自身で実践をしながら試行錯誤して、自分だけのトレードルールを作り上げて、それを信じ抜くという姿勢が大切なのです。

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『投資1年目の教科書』より引用
高橋 慶行
1982年、宮城県仙台市生まれ。成蹊大学経済学部卒業。投資の学校グループ代表。
世界基準の本物の投資教育と最高の学びの環境を提供することをビジョンとし、投資教育に関するプロジェクトを複数主催する株式会社ファイナンシャルインテリジェンス代表取締役。
教師一家に生まれ、日本人にとって必要な教育事業を作ることを目標にして、学生時代を過ごしながら、学生起業を経験。
社会人となり、リクルート社で新卒採用に関する営業を経験し、トップセールスマンとして表彰をされ、その後独立。
人生を豊かにするために必要でありながら、学校ではわからない総合的な教養を提供するうえで、自らも起業経験が必要と感じ、2008年、起業。
2013年10月、投資教育の必要性を強く感じ、株式会社ファイナンシャルインテリジェンスを設立し、2014年「投資の学校」を開校。
2019年現在、正しく投資教育の学習環境を用意し、累計12万人以上の一般投資家に対して、株式、FX、信用取引、オプション取引日経225先物、米国株などの授業を提供している。

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