海外旅行の行き先を決める際、一般的には次のようなポイントが判断材料となる。
- 観光資源の魅力
- 治安や安全性
- 渡航費や滞在費の高低 など
しかし、外貨投資などで普段から為替レートに関心を持っている人の中には、「円高の国はどこか」といった視点で旅行先を選ぶ人も少なくない。特に近年の円安によって、海外から見た場合、日本では自国通貨の価値が高くなり、消費や観光がより有利になる。この円安傾向が、日本観光の人気を押し上げる要因の一つとなっている。
本記事では、海外旅行先を選ぶ基準と、円高の国やその背景などについて解説する。
海外旅行先を選ぶ基準は ?
海外旅行先を選ぶ際、通常の基準に加えて「為替レート」という視点も取り入れてみてほしい。以下に、為替レートを含めた旅行先選びのポイントを整理して紹介する。
観光資源
観光資源が豊富であれば、旅行の満足度も高まる。特に、季節限定のイベントやお祭りは、その時期に合わせて訪れることで一層楽しめる。各国の観光資源と最適な渡航時期を組み合わせることが、旅行を充実させるためのポイントだ。
治安・安全度
旅行先の安全は最優先事項である。せっかくの旅行が危険で台なしにならないよう、外務省が公開している国別の危険情報などを必ず確認しておこう。また、最新の安全情報を日本語で受信できる外務省の「たびレジ」にも登録しておきたい。
さらに、クレジットカードに付帯する海外旅行保険があれば、万が一のケガや病気にもある程度の対応が可能だ。ただトラブルが発生してしまうと、旅を楽しむことが難しくなるため、旅行先の国の治安や安全度は高いに越したことはない。
渡航費・滞在費
渡航費や滞在費が安く抑えられれば、その分旅行をリッチに楽しむことができる。日本からの航空路線が充実しているか、格安航空 (LCC) が就航しているかなども事前に確認しておきたい。滞在費については、宿泊施設やレストランの価格相場を事前に調べ、計画を立てておくと安心だ。
「為替レート」という視点も
最後に、「為替レート」という新たな視点もぜひ取り入れてみてほしい。旅行先の通貨に対して円高であれば、少ない日本円でより多くの現地通貨を得られ、結果として旅費を抑えられる。外貨投資を行っている人の中には、この為替レートを有利に活用して、旅行先を選ぶ人もいる。
対現地通貨で「円高」だとなぜお得 ?
そもそも、ある国に対して円高だと、なぜその国への海外旅行がお得になるのだろうか。ここでは、実際の為替レートの数字を使って分かりやすく説明しよう。
海外旅行に行くときは、現地での滞在中に必要となる食事代や施設入場料などの支払いのため、日本円を渡航先の通貨に「両替」する。例えば、日本から米国へ海外旅行する際に、1米ドル=150円の場合と、1米ドル=125円の場合で比べてみよう。
・1米ドル150円の場合
100米ドルを手にするために1万5,000円が必要
・1米ドル125円の場合
100米ドルを手にするために1万2,500円が必要
※為替手数料は考慮していない
「1米ドル=150円」と「1米ドル=125円」では、「1米ドル=125円」のほうが円高 (※円の価値が高い) だ。この2つのレートを比較すると100米ドルを手にするために2,500円の差が生じ、「1米ドル=125円」のほうが100米ドルを手にするために必要な日本円が少ないことになる。
また「1米ドル=125円」と「1米ドル=100円」で比較すると以下のようになる。「1米ドル=125円」と「1米ドル=100円」では「1米ドル=100円」のほうが円高であり、当然100米ドルを手にするために必要な日本円は少なく済む。
・1米ドル125円の場合
100米ドルを手にするために1万2,500円が必要
・1米ドル100円の場合
100米ドルを手にするために1万円が必要
※為替手数料は考慮していない
米ドルやユーロが円安でも他国は円高 ?
2023~2024年は、「米ドル対円」「ユーロ対円」の相場における歴史的な円安局面が注目を集めた。また、これ以外にもさまざまな国の通貨に対し、日本円が円安となっているケースが多い状況となっている。しかし「米ドル対円」や「ユーロ対円」で円安が起きていても、例えばエジプトポンドやアルゼンチンペソ、ラオスのキップなどに対しては、円高となっている。
エジプトで円高となっている理由
IMFの総括では、エジプト政府による通貨の切り下げなどが関係しているという見方が根強い。 エジプトでは外貨準備高が不足している。通貨の切り下げが起きると自国製品が国際市場で相対的に安くなるため、輸出が促進されて外貨の獲得につながる。このような理由が、通貨切り下げの背景にあると見られている
アルゼンチンで円高となっている理由
アルゼンチンでは、対米ドルの公式為替レートの切り下げが発表されるなど、アルゼンチンペソが多方面から下落圧力を受けている。これに加え、深刻なインフレや経済の不安定さが投資家心理に悪影響を及ぼし、日本円のような安全資産への需要が高まったことが一因となって円高が進んでいると考えられる。
ラオスで円高となっている理由
ラオスでも円高が起きている。ラオスの通貨は、“キップ”だ。ラオスの経済発展の遅れや国の財政への不安などからキップの価値が下落傾向にあり、こうしたキップ自体の価値の下落が対日本円で円高という状況を招く一因となっている。
「円高国」は格安国 !?
外貨預金などを通じて日ごろから為替レートをチェックしていると、海外旅行先の選び方も変わってくる。特に、為替レートに敏感な人にとって「円高国」は、まるで「格安国」のように見えるため、円高をうまく利用してお得に旅行することが可能だ。
また、為替レートのチェックは旅費の節約だけでなく資産形成にも役立つ。為替動向を把握することで、投資やリスク分散の判断材料が得られ、経済環境に応じた柔軟な対応が可能になる。
外貨預金は、為替の知識を深めながら少額から資産運用を始められるため、初心者にも取り組みやすい。お得に旅行したい人や資産形成を考えている人は、外貨預金で資産運用を始めてみるのも一つの方法だろう。
(提供:大和ネクスト銀行)
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