人民元見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「人民元はドルに連れ安。金利低下も株は安い。明日はGDP」人民元見通し

(昨年は通貨3位、株価10位)

予想レンジ 人民元/円 21.0-21.5

(ポイント)
*春節は1月29日より
*人民元はやや弱い。金利低下も株は安い
*明日は4Q・GDP、12月鉱工業生産、小売利上げの発表
*トランプ氏大統領就任前の駆け込み輸出が増加 12月
*低い消費者物価が続く
*利回り低下する国債のリスクに警告、人民銀行
*米からの追加制裁があった(ウイグル関連)
*既に米国からは経済制裁を受けているがトランプ次期米政権での関税政策も懸念材料
*トランプ氏は次期政権の主要ポストに多くの対中強硬派を任命
*EV主導の自動車産業にテスラを除く欧米日の業者がついていけなくなってきた

(人民元はやや弱い。金利低下も株は安い)
 年初では人民元は12通貨中9位、いつものように8位のドルに寄り添う。ドルもトランプ次期大統領就任の前に不確実性を増し、昨年後半のような強さがない。ドルを主としたバスケット制を採用している人民元も連れ安。10年国債利回りは1.63%。当局は急激な金利低下を警戒している(後述)。
 株は弱い。年初来で上海総合指数は3.72%安、香港ハンセン指数は3.86%安。日経平均は3.63%安。

(今週は4Q・GDPの発表)
 2024年4QのGDPは前年同期比5.0%増、伸び率は3Qの4.6%から加速すると予想されている。中国政府は2025年のGDP成長率目標を5%前後に保つことで合意した。財政赤字目標を過去最高となる対GDP比4%へ引き上げ、3兆元相当の特別国債を発行することで下支えする計画だ。
銀行の預金準備率は24年には2回引き下げたのに続き、25年1Qに少なくとも0.25%引き下げる可能性があるとも予想されている。
中国の消費者物価は25年に前年比で0.8%上昇し、伸び率は24年の0.2%から拡大する見通し。

(今週の他の注目指標)
 その他今週は12月小売売上高、鉱工業生産の発表がある。

(トランプ大統領就任前の駆け込み輸出が増加)
12月の貿易統計では、 輸出が前年比10.7%増加。11月の6.7%、予想の7.3%を上回った。 輸入は1.0%増、予想の1.5%減少から大きく伸びた。
貿易黒字は1048億ドルで11月の974億ドルから拡大した。
対米貿易黒字は335億ドルで11月の298.1億ドルから増加した。

輸出は伸びが2桁に加速したのはトランプ次期米大統領就任に伴う通商リスクに備えた貿易の前倒しが一因だった。

(低い消費者物価が続く) 
12月の消費者物価は前年比0.1%上昇した。これを受け、2024年通年では0.2%上昇と小幅な伸びとなった。 通年の上昇率は2023年と同水準となったが、目標である約3%を下回り、13年連続で目標を下回った。
一方、需要低迷で生産者物価のデフレは2年目に突入した。12月の生産者物価は前年比2.3%下落した。11月は2.5%下落、予想は2.4%下落だった。生産者物価は27か月連続で下落している。

(利回り低下する国債のリスクに警告、人民銀行)
10年国債利回りは2024年は2.59%から1.6%へ低下した。人民銀行は、国債への投資はリスクがないわけではないと述べ、潜在的な市場バブルとそれに起因する混乱に警告を発した。
中国国債利回りは急速に低下しており、軟調な人民元相場を安定させようとする当局の取り組みを複雑にしている。
「長期の国債利回りが経済のファンダメンタルズを正確に反映できない場合、あるいは需給に大きな変化がある場合、一部の金融機関が金融レバレッジを効かせているため、償還によってスパイラル効果が形成され、短期的に大きな損失が発生する可能性がある」と述べた。
「需給緊張と市場変動の悪化」を避けるため、マクロプルーデンス管理を強化し、リスク警告を発し、国債購入を停止し、他の流動性手段に切り替えているという。