総括
FX「突然、米国から敵視された南ア、ただ先週末までは2位を維持」南アランド見通し
「通貨2位、株価10位」
「予想レンジ 南アランド円7.9-8.4」
(トランプ大統領が南アにも攻撃開始、ランド一時急落)
先週はメキシコ、カナダ、中国へのトランプ関税が焦点であったが、トランプ大統領は突然、南アの収用法や人権侵害を持ち出し、南アへの援助を打ち切ると発言したことから、南アランドも先週末の8.31から一時8.148へ下落した。その後、マスク氏とラマポーザ大統領の会談が持たれ、小康状態となっていた。南ア10年国債は10%割れから10.41%まで上昇。株価指数(全株)は年初来4.02%高。現在(2月10日早朝は8.12-14)
(トランプ大統領は、南アへの支援を停止する大統領令に署名)
2月7日、トランプ大統領は、南アへの支援を停止する大統領令に署名した。
南ア政府が少数派の白人から農地を収用する指針を定めた新法や、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘をめぐる同国の反イスラエル姿勢を理由に挙げている。
さらに、南アのアフリカーナー(オランダ系移民)が差別から逃れて出国する場合に、難民事業を通して移住を手助けするなどの支援策も指示した。南アが「不当で不道徳」な施策を続ける限り、同国を援助しないと宣言している。
(南アの反論)
南アの外務省は2月8日、この大統領令が「事実の正確さ」を欠き、「植民地主義とアパルトヘイト(人種隔離)という南アの深刻でつらい歴史」を理解していないとして、「深い懸念」を表明。偽情報と宣伝工作で同国をおとしめようとする作戦だと非難した。
また、米国が他国からの恵まれない移民を追放し、受け入れを拒否する一方で、南アで今も特権的な地位を維持する白人層を難民に認定しようとするのは皮肉な話だとも批判した。
南アではアパルトヘイト廃止後の憲法で、かつて白人入植者が黒人から取り上げた土地の再分配が定められた。ラマポーザ大統領は先月、一部のケースで補償なしの土地収用を可能にするなど、白人からの収用の新たな指針を盛り込んだ法律に署名していた。
ガザ紛争をめぐっては、イスラエルの行為がジェノサイド(集団殺害)に当たるとして、南アが国際司法裁判所(ICJ)に提訴している。
米政府の公式サイトによると、南アへの援助は2023年の時点で総額4億4000万ドルだった
(AGOAはどうなるか)
AGOAは2025年9月に期限切れとなる予定だ。AGOAは、南アの製品の大部分を米国市場に無税で輸出することを可能にし、2022年だけでも550億ランド以上の輸出が見込まれている(主に自動車、果物、ワイン)。