この記事は2024年12月27日に「第一生命経済研究所」で公開された「都区部版・日銀基調的インフレ率の試算(2024/12)」を一部編集し、転載したものです。


インフレ
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目次

  1. 刈込平均・加重中央値がじわりと加速
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刈込平均・加重中央値がじわりと加速

以前のレポートで試算した①東京都区部版の基調的インフレ率3指標、②日銀が賃金から物価への波及度合いを分析する際に利用した低変動品目CPIについて、本日公表の12月都区部CPIを用いて計算した。

計算値を見ると、刈込平均値(全国ウェイト換算)は11月:+2.0%→12月:+2.2%、加重中央値(全国ウェイト換算)は11月:+0.8%→12月:+0.9%、最頻値は11月:+1.3%→12月:+1.3%(いずれも前年比)となった。刈込平均値・加重中央値がじわりと上昇するような姿となっている。品目分布をみていくと、いずれも食料品の上昇が作成系列に影響を与えるような形になっている。品目ごとの偏りの影響を緩和することがこれらの系列を見る目的ではあるのだが、それだけ食料品の上昇が広範になっているということでもある。全国版の低変動品目CPIは10月:+1.1%→11月:1.1%、都区部では11月+1.3%→12月:+1.4%となった。都区部の値は小型乗用車や葬儀料の上昇寄与度が拡大している。

今回12月都区部の作成系列の加速がみられた一方で、食料品の上昇に偏っているという点で、コストプッシュ的な色彩は依然強い。1月利上げ判断にポジティブな方向の内容ではあるが、決定打とも言い難いだろう。

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第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 星野 卓也