グローバルサウスで事業を推進

現行の中期経営計画(2023年4月~26年3月)で海外パッケージ事業、エレクトロニクス事業と並んで重点テーマに掲げるのがグローバルセキュア事業だ。

具体的には経済成長が続くアフリカや中東、中南米などのグローバルサウスに対象に、パスポートや運転免許証、社会保険証などの国民IDソリューションを基軸とするビジネス展開の加速を目指している。ホログラムや特殊インキ、特殊製版技術を使った偽造・模倣防止が決め手となる。

2024年10月にはスウェーデンのセキュリティー企業AssaAbloyから国民ID事業の買収を発表した。同事業が強みとする南米、アフリカの営業拠点を取り込む。

アフリカではBPO事業の一環として今年1月、ルワンダのITオフショア企業ONGORUGOSEIを子会社化した。同社は首都キガリに本社を構え、日本企業向けに画像加工やAIアノテーション(タグ付け)、Web制作などを手がける。

これまで中国、アジアを受け皿とするオフショア事業が活発化してきたが、各国の経済成長や円安などで人件費が上昇し、次のオフショア事業の展開先としてアフリカが有力視されており、先手を打った形だ。

中計最終年度、成長投資枠の上積みは

中期計画では3年間で成長投資枠として4500億円を設定する。このうちM&A・アライアンス(資本提携など)に1000億円強を配分する方針だったが、ソノコからの事業買収が2700億円規模となったことから、4月の中計最終年度入りを控え、投資枠の組み替えや積み増しが避けられない情勢にある。

◎TOPPANホールディングス:主な沿革

出来事
2000 凸版印刷創立100周年
2004 JTから印刷事業子会社3社
2005 半導体用フォトマスク製造の米デュポンフォトマスクを子会社化
2006 ギリシャ政府と身分証明書発行システム供給契約を締結
2007 図書印刷(現TOPPANクロレ)を子会社化
2008 シンガポール印刷大手のSNP(現TOPPAN Next)を子会社化
2015 台湾の液晶カラーフィルター製造子会社「台湾凸版国際彩光」を現地社に売却
2016 中国の書籍印刷子会社TOPPAN Leefung Printingを現地社に売却
2017 液晶パネル製造の台湾「凌巨科技」を子会社化
2018 段ボール製造子会社のトッパンコンテナーをレンゴーに売却
2019 ドイツの建装材メーカーのINTER PRINTを子会社化
2021 米国の包装大手Inter Flex Groupを子会社化

デジタルピッキングシステム国内最大手のアイオイ・システムを子会社化

2022インドのフィルムメーカー、Max Speciality Filmsを子会社化
半導体用フォトマスク事業を分社し、トッパンフォトマスク(現テクセンドフォトマスク)を設立
2023 トッパン・フォームズと凸版印刷のセキュア事業を統合し、TOPPANエッジを設立
英国包装メーカーのスカイマーク・パッケージングを子会社化
持ち株会社制に移行し、TOPPANホールディングスを発足
TOPPANデジタルを設立
2024 ベルギーのITサービス企業Selinkoを子会社化
シンガポールの物流ソフト会社KEYFIELDSを子会社化
スウェーデンのAssaAbloyから政府系IDソリューション部門の取得を発表
米国の包装大手ソノコ・プロダクツから軟包装事業などの取得を発表
2025 台湾の液晶パネル製造子会社「凌巨科技」を現地社に売却
ルワンダのITオフショア企業JONGORUGOSEIを子会社化

文:M&A Online