2023年、日本のGDPはドイツに抜かれ世界第4位に転落した。近年では、中国やインドといった「経済新興国」と呼ばれる国々が世界経済において存在感を増しつつある。本記事では、2019~2023年の5年間におけるG20 (主要20ヵ国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議) の経済成長率をチェックしたうえで、どの国の経済が成長しているのかについて検証していく。

年々変化する世界経済の勢力図

グンと伸びている国はどこ ? 直近5年の“国別”経済成長率をチェック !
(画像=sichon / stock.adobe.com)

2000年以降、中国経済は飛躍的な成長を遂げ2010年には日本を抜き、米国に次いで世界2位に躍り出た。ほかにも南米やアジア諸国などが目覚ましい成長を見せ、世界の「GDPランキング」で「先進国」と呼ばれる国々を追い抜く国が相次いだ。一方、日本経済は1991年のバブル崩壊以降、停滞が続いている。2023年には、ドイツに抜かれ4位への転落を余儀なくされた。

この間も中国の経済成長は続き、現在は世界2位の座を盤石なものにしている。また、人口ベースでは2023年に中国を上回ったインドの成長も著しい。IMF (国際通貨基金) の推計では、2025年にも日本を上回り、世界4位に浮上するという。以下の表でG20における2019~2023年の経済成長率を比較してみよう。

【G20 GDP成長率ランキング (2019~2023年) 】

順位国名GDP成長率 (前年比、%)5年平均 (%)
2019年2020年2021年2022年2023年
1位中国6.02.28.43.05.24.968
2位トルコ0.81.911.45.55.14.952
3位インド3.9-5.89.77.08.24.585
4位インドネシア5.0-2.13.75.35.03.402
5位米国2.6-2.26.12.52.92.375
6位オーストラリア2.2-0.12.14.23.42.370
7位韓国2.2-0.74.32.61.41.962
8位サウジアラビア1.1-3.65.17.5-0.81.864
9位ブラジル1.2-3.34.83.02.91.726
10位カナダ1.9-5.05.33.81.21.445
11位ロシア2.2-2.75.6-2.13.61.338
12位イタリア0.4-8.98.94.70.71.170
13位イギリス1.6-10.38.64.80.31.017
14位フランス2.0-7.46.92.60.90.995
15位メキシコ-0.4-8.46.03.73.20.838
16位アルゼンチン-2.0-9.910.45.3-1.60.440
17位ドイツ1.0-4.13.71.4-0.30.333
18位南アフリカ0.3-6.25.01.90.70.331
19位日本-0.4-4.12.61.01.70.129

表では、各年の成長率と2019~2023年の5年平均も算出した。これを見ると、コロナ禍で世界経済が大きく落ち込んだ2020年にプラスの成長率を維持した中国とトルコが1位、2位となった。インドは、2020年の数字こそ-5.8%と大きく落ち込んだものの、2021年以降はコロナ禍の影響から急速に回復。IMFによると2024年も7.0%と高い成長率を維持する見通しだ。

2000年代半ば~2010年ごろにかけて急成長を遂げたブラジルは、2015~2016年にマイナス成長に落ち込むなど、かつての急成長と比べると苦戦している。通貨のレアル安を背景にしたインフレ (物価上昇) や政情不安、異常気象などが苦戦の要因だ。ただ、人口増加や水力・風力といった再生可能エネルギー関連の豊富な資源などを考えると、政情や金融情勢が安定すれば再び成長の拡大が見込まれている。

新興国の成長と先進国の停滞

GDP成長率ランキングを見てもわかるとおり、新興国の存在感が近年強まりつつある。なかでも注目されるのがインドだ。人口増加を背景に経済成長も著しく、G20内で第3位となる平均成長率約4.6%を記録。2023年時点の実質GDPベースでも、すでにフランスやイタリアといった先進国を追い抜いており、今後も影響力を強めていくことが期待される。

次に注目すべきはインドネシアだ。G20内で第4位となる平均成長率約3.4%を記録し、力強い経済成長を続けている。2020年には人口が約2億7,000万人に達し、「人口ボーナス」の恩恵を受けながら、着実に経済を拡大している。

一方、先進国のなかでは、日本とドイツが近年、低迷した成長率を示している。本格的なコロナ禍に見舞われた2020年は、両国とも財政出動や金融緩和の恩恵によりマイナス幅こそ比較的小さかったものの、5年間の平均成長率ではG20のなかで下位にとどまっている。

未来の経済勢力図は刻々と変化する

2019~2023年の5年間の統計では「コロナ禍」による歴史的な経済停滞期を挟んでいる。「コロナ以前」と「コロナ以後」では、成長シナリオがかなり変化したといえるだろう。それが、これらの国々にとってプラスに働いたのか、あるいはマイナスに働いたのかを見極めるためには、もう少し時間がかかりそうだ。

やや古いレポートになるが、英PwC (プライスウォーターハウスクーパース) が2015年に発表した「2050年の世界」では、2030年には中国が米国を抜いてGDP世界トップに浮上し、インドが世界3位になると予測されていた。また、インドネシアは2030年に日本に肉薄する形で5位に浮上。2050年には、4位まで順位を上げる予測となっていた。それだけ、現在の世界経済の情勢は目まぐるしく変化しているということだろう。

2020年以降のコロナ禍や、それに伴うサプライチェーン (物流網) の構造変化、現在のAIブームなどによって、世界経済の動向は中国経済の混迷など「2050年の世界」が公表された当時とは大きく変わっている。こうした状況の急速な変化を捉えるには、やはり世界の経済全体を定期的にチェックすることが求められそうだ。

中長期的な視点を養う

この数十年間で世界経済の勢力図は大きく変化してきた。そして、これからも変化を続けていくだろう。今後、大きく成長しそうな国や地域を知ることができれば、その国の通貨への先行投資など資産運用の幅が広がるはずだ。

反対に、このような情勢の変化に無知のままだと、投資や資産運用において、ほかに先んじられることになりかねない。それを避けるためには、中長期的な視点で世界経済を見る目を養うことが大切である。

(提供:大和ネクスト銀行


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