
総括
FX「政敵逮捕、リラ史上最安値、常在緊張もリラ防衛」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価最下位)
予想レンジ トルコリラ/円3.7-4.2
*シムシェキ財務大臣は3月25日に投資家会議を開催する予定
*大統領の政敵イスタンブール市長を逮捕
*イマモール市長が正式に党の次期大統領選の候補に
*リラは史上最安値更新、株価・債券も大波乱
*政府中銀の混乱への対処は
*大統領が恐れるイマモール氏とは。3選禁止の抜け穴
*デモが続き、大統領と野党党首での非難の応酬が続く
*中銀総裁がリラを語る
*24年4QはG20で最も高い成長。25年も上方修正
*トルコの外貨預金比率は34.25%で高い
*リセッション抜け出す、2024年のGDP成長率は3.2%
*2025年は3%成長予想、EBRD、OECDは3.1%
*ビジネス界が政府を批判し拘束される
*財務相は正統派経済を貫くが、国民はまだリラを全面的に信頼せず
*中銀、インフレ予想を21%から24%に上方修正
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
*さらなる利下げを宣言、エルドアン大統領
(本日、投資家会議)
シムシェキ財務大臣は3月25日に投資家会議を開催する予定。
(イマモール市長が正式に党の次期大統領選の候補に)
CHPは23日、汚職容疑で逮捕されたイスタンブールのイマモール市長が正式に党の次期大統領選の候補になったと発表した。同日の予備選で信任された。
(大統領の政敵イスタンブール市長を逮捕 )
先週から拘束されていたイスタンブール市長が3月23日、汚職の疑いで逮捕された。市長はエルドアン政権と鋭く対立する野党CHPに所属し、3年後に予定されている大統領選挙の有力候補とされてきただけに野党側や支持者などが反発をいっそう強めている。イマムール氏は容疑を全面的に否認している。
23日には、3年後に予定されている大統領選挙に向けてイマムール氏を野党候補に選出するための投票が行われていた。
一方、イェルリカヤ内相は市民のデモに対し「公共の秩序を乱す行為は許されない」と警告しており、連日、300人以上が拘束される事態となっている。
(トルコ金融市場の混乱)
イマモール市長拘束、逮捕後の市場の動きは以下の通り。リラは落ち着いてきたが株と長期債は依然、売りが続いているので注意したい。

・トルコ国債の向こう5年のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は約1年ぶりの高水準となった。
(政府中銀の混乱への対処)
*資本市場規制当局は、市場状況のさらなる悪化を防ぐため、すべての株式の空売りを禁止し、自社株買い規制を緩和した。直近の終値より高い価格で自社株を買い戻すことを認め、信用取引の最低自己資本比率を35%から20%に引き下げた。
*トルコ中銀は翌日物貸出金利を46%に引き上げ、必要であれば追加措置を取ると述べた。インフレが大幅に悪化し、それが続くと予想される場合、金融政策の姿勢を引き締めることになる。
*トルコの銀行はリラ相場防衛のため、3月19日約80億ドルを売却した。リラ市場への介入は複数の銀行を通じて行われたという。
(大統領が恐れるイマモール氏とは。3選禁止の抜け穴)
去年の統一地方選でイスタンブール市長に選出。イスタンブール市長はトルコの政治界では、大統領に次ぐ2番目に重要な公職だ。エルドアン大統領よりも支持率が高い。メディアの90%をエルドアン支持者が牛耳っているトルコで、この事実はかなり重い。
大統領からの横槍がなければ、はるかに多くの世論調査でイマモール氏がリードしている可能性が高いだろう。イスタンブール大学に手を回わされ、イマモール氏の学位を抹消させた。トルコでは、学位がなければ大統領選に立候補できない。
次の大統領選は2028年の予定で、3選禁止なので、エルドアン大統領は本来なら立候補できないが、抜け道が用意されている。
大統領選を前倒しして「2期目の人気をまっとうしていない」と主張すれば、出馬できる。