本記事は、浅野 潔氏の著書『米国海軍大学元教官が教える自律型チームのつくり方』(フォレスト出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
フォロワーシップの重要性
フォロワーの「意思決定力」がないと、現場で判断・行動ができない
ここまでは、
- 従来型の上意下達型マネジメント、あるいは細かく指示をするマイクロマネジメントこそが「指示待ち」部下を増やし、チームのパフォーマンスを妨げていること、
- 現代の軍事理論が明らかにしているように、メンバーに任せて自律性を引き出すマネジメントこそが、チームの力を発揮させること
を説明してきました。
一方で、
「メンバーの自律性が重要だというのはわかった。でも、うちのチームの若手に任せて大丈夫かな?」
といった不安を感じている人もいるのではないでしょうか。
たしかに、「任せる」チームマネジメントを実現するためには、リーダーの思考・行動を変えるのみならず、メンバーにも成長してもらう必要があるでしょう。
「目的(Why)を共有して、そこにいかにして到達するか
(How)の部分は部下に任せる」というやり方が通用するためには、部下が自ら最適のHowを決定できる、意思決定の力がなければいけないわけです。
つまり、ここまではリーダーシップを問題にしてきたのに対して、ここからはフォロワーシップの問題に取り組まなければいけない、ということになります。
チームの成果は、フォロワーシップが9割
フォロワーシップ(Followership)」とは、リーダーを支え、組織の成果を最大化させるための「部下やメンバーとしての能力」を指す概念です。
現代のマネジメントにおいては、リーダーシップと同様に、あるいはそれ以上に、フォロワーシップが重要視されるようになってきています。
一般にリーダーシップは、組織の方向性を指し示し、チームを牽引する力として広く知られています。
一方、フォロワーシップは、リーダーの指示に従うだけでなく、主体的に働きかけ、組織の目標達成に向けて積極的に貢献する、チームメンバーの力のことを指します。
言うまでもないことですが、チームは、リーダーとメンバー(= フォロワー)の両方で構成されます。しかも、人数で言えば、リーダーよりフォロワーのほうが圧倒的に多いのが通常です。
ということは、チームの成果により多く関与するのは、リーダーよりもむしろフォロワーであるとしても不思議はありません。
実際、フォロワーシップ概念の主唱者である経営学者のロバート・E・ケリーは、「組織が挙げる成果の8~9割はフォロワーシップによって決まる」としているほどです。
これまで紹介してきた事例、例えば東日本大震災発生時の海上自衛隊の奇跡的なミッション遂行を見ると、優れたチームの力は、まさに優秀な現場の人材、フォロワーたちの力そのものだと実感できると思います。
リーダーはもちろん優れていなければいけません。
しかし、どんなに優れたリーダーがいても、機能的なフォロワーがいなければ、組織は空回りしてしまうのです。
良いフォロワーの条件
では、機能的なフォロワー、チームに貢献し、チーム全体の力を高めてくれる良きフォロワーとはどんな人材でしょうか?
自分で考えようとしない「指示待ち」タイプはもちろん困ります。
かといって、能力は高いけれど協調性がないスタンドプレーの多いタイプも困ったものです。
批判や文句が多すぎるタイプも使い物になりません。
やはり、しっかりと自走できる自律性があり、実行力も十分、かつチーム全体のことを考えられるタイプのフォロワーが理想です。
そういう部下はなかなか得がたいものですが、だからこそ、今いるメンバーを、そうした理想のフォロワーに成長させていくにはどうすればいいかが問題になるわけです。
防衛大学校卒業後、海上自衛隊に入隊。34年間の勤務において、護衛艦での実任務をはじめ中東アデン湾派遣、阪神・淡路大震災および東日本大震災での災害派遣部隊司令部幕僚を歴任。極限の状況下における指揮官の意思決定プロセスを数多くサポートする。その後、アメリカ海軍大学(ロードアイランド州)にて専門的な軍事的意思決定・問題解決法を修得。その知見を活かし、同大学に新設された「国際海上作戦幕僚養成課程」の外国人教官として招聘され、世界各国の海軍士官への教育に従事した。退職前の約6年間は、海上自衛隊幹部学校にて作戦教官を務め、1,000名以上の高級幹部に対する講義や図上演習を担当。2021年、1等海佐で退官。現在は、軍事理論をビジネスに応用した独自の「ミリタリー式組織マネジメント」を確立。製造、金融、医療などの民間企業、24時間稼働の厳しい現場を持つ組織を中心に、自律型組織への変革支援を行なっている。
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