本記事は、浅野 潔氏の著書『米国海軍大学元教官が教える自律型チームのつくり方』(フォレスト出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
スタバと現代の軍隊との意外な共通点
──なぜ、「スタバ」は人気企業なのか?
スタバの「いい雰囲気」の正体
突然ですが、あなたはスターバックスコーヒーを利用したことはありますか?
スタバの店内に入るとまず最初に感じるのは、なんとなく「いい感じ」「いい雰囲気」ではないでしょうか。
その雰囲気を生み出しているのは、そこで働いている店員さんたちであることに気づきます。よくあるファスト・フードのチェーン店のように、単にマニュアル的に快活に対応している、という感じではありません。
むしろその逆。スタバ特有の多彩なカスタマイズについて、親切に説明してくれたり、おすすめを教えてくれたり。時にはラテの入った紙コップに「お疲れ様です」と手書きでメッセージを添えてくれたり。なにより、お店をオペレーションし、お客さんをもてなす一挙一動を、まるで舞台上の演者のように、生き生きと楽しんでいる。
マニュアルに従った勤務でなく、自発的に、楽しんで働いている店員さんがスタバには多い、という印象は、多くの人にうなずいていただけるのではないでしょうか。
離職率が圧倒的に低く、やりがいを生む秘密
実際、スターバックスコーヒーの従業員は離職率が低いことで知られています。
通常、外食産業では5割近い離職率が、スタバではひと桁台の前半。採用倍率も高い人気の職場です。一般に人手不足・高離職率で悩んでいる外食産業の中では、驚異的と言ってもいいでしょう。
そんなスターバックスのマネジメントには、実は現代の進化した軍事組織のマネジメントとの意外な共通点がある、と言ったら、驚かれるでしょうか?
スターバックスのマネジメントの特長は、いわゆるマニュアル教育を行なっていないこと。その代わり、重視しているのが「ミッション教育」です。
「この一杯から広がる、心かよわせる瞬間、それぞれのコミュニティとともに─人と人とのつながりが生みだす無限の可能性を信じ、育みます」(同社公式サイトより)
このミッションを実現するために、自分はどう行動すべきか。言い換えると、チームとして理想の状態を実現するために、個人はどうすればいいのか。
「それを皆さん一人ひとりが考えて行動してください」という教育法を徹底して行なっているのです。
その結果が、多くの顧客に選ばれる魅力につながっている。それだけでなく、働く人たちもやりがいを感じているーー。
それも当然ですね。「やれ」と言われたことをやって褒められるのもうれしいことでしょう。けれども、自分で「どうしたらお客様に喜んでもらえるか」と考え、行動した結果を評価される、そのときの充実感は桁違いです。
それが働きがいを生み、低い離職率と高い採用倍率、そして優秀な人材の採用・定着につながっているというわけです。
防衛大学校卒業後、海上自衛隊に入隊。34年間の勤務において、護衛艦での実任務をはじめ中東アデン湾派遣、阪神・淡路大震災および東日本大震災での災害派遣部隊司令部幕僚を歴任。極限の状況下における指揮官の意思決定プロセスを数多くサポートする。その後、アメリカ海軍大学(ロードアイランド州)にて専門的な軍事的意思決定・問題解決法を修得。その知見を活かし、同大学に新設された「国際海上作戦幕僚養成課程」の外国人教官として招聘され、世界各国の海軍士官への教育に従事した。退職前の約6年間は、海上自衛隊幹部学校にて作戦教官を務め、1,000名以上の高級幹部に対する講義や図上演習を担当。2021年、1等海佐で退官。現在は、軍事理論をビジネスに応用した独自の「ミリタリー式組織マネジメント」を確立。製造、金融、医療などの民間企業、24時間稼働の厳しい現場を持つ組織を中心に、自律型組織への変革支援を行なっている。
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