
これまでの事業変遷
ーー これまでの事業変遷や事業内容について教えてください。
マルコ株式会社 代表取締役会長・岩本 眞二氏(以下、社名・氏名略) 我々は主に補整下着を販売している会社です。以前は大きな赤字を出しており、私は、今から約9年前にマルコを再建するために来させてもらいました。
—— 岩本様のこれまでのご経験もお聞かせいただけますか?
岩本 私は以前、スタイライフというEコマース会社を起業し、上場まで果たしました。その後、外部からの買収により手放さざるを得なくなり、そこからは会社再建を専門とするようになりました。これまで5社の再建に携わってきましたが、いずれも成功させることができました。
—— 岩本様が社長に就任された当時の御社はどのような状況だったのでしょうか?
岩本 その時は赤字が続いていました。主に補整下着をメインに、それに関連する商品を販売していました。しかし、私が来てからは、販売する商品を横展開していき、会社の売上を伸ばし、復活させました。現在は、補整下着以外の商品の売上が全体の2割から3割を占めています。

—— それは素晴らしいですね。ちなみに、補整下着以外で特に伸びている商品は何ですか?
岩本 1つは新規事業として始めたオーソティックスです。これは靴のインソールで、インソールを使うことで、杖をつかないと歩けなかった人が杖なしで歩けるようになりました。この商品は売上が8〜9億に達しています。また、最近はドクターズサプリという商品も販売しており、こちらも8〜9億円の売上になっています。
自社事業の強みやケイパビリティ
—— 御社の自社事業の強みや特徴について教えてください。
岩本 やはり、うちの一番の強みは「販売力」です。現在、全国に1,300~1,400人ほどの販売員がいますが、彼女たちの卓越した販売スキルが、マルコの独自性を際立たせています。この販売力を活かすことで、単なる商品提供ではなく、お客様に「価値」を伝えることができるのです。
—— 販売力とは具体的にどのような部分を指しているのでしょうか?
岩本 例えば、補整下着といえば、男性の方が聞けば驚かれるかもしれませんが、10万円を超える商品もあります。それをお客様に購入いただけるのは、ただ売るだけではなく、人生を変える商品としての価値をきちんと説明し、納得いただける力があるからです。実際に「この下着のおかげで人生が変わった」というお手紙もたくさんいただきます。
—— 高価格帯の商品を扱う難しさもあると思いますが、その中でどのように販売力を磨いていらっしゃるのでしょうか?
岩本 お客様との信頼関係を築くことが基本です。うちの販売員は、自分たちが本当に良いと思った商品しか売らないという哲学を持っています。だからこそ、「あなたが勧めるなら買ってみよう」という流れが自然と生まれるのです。また、販売員全員がプロフェッショナルであることを誇りに思い、お客様に寄り添ったコンサルティング販売を徹底しています。

—— 最近の成功事例を教えていただけますか?
岩本 昨年、初めて美顔器を販売した際のことです。18万1,000円もする商品だったのですが、販売を開始してわずか3ヶ月でメーカーの倉庫にあった在庫がすべて完売しました。メーカーさんもかなり驚かれていましたね。通常、家電量販店やドラッグストアでは考えられない高価格の商品です。それが飛ぶように売れるというのは、販売員たちの力がいかに強いかを物語っています。
—— 岩本さんが社長に就任された当初、会社は赤字だったと伺いました。それをどのようにして立て直したのでしょうか?
岩本 正直、最初に赤字の規模を見たときは驚きました。しかし、販売員たちの力はすぐに感じました。この販売力の強さを信じて、適切な経営方針を打ち出すことで必ず立て直せると確信しました。
新規事業にリソースを割り振り、販売員の能力を最大限活用することで、売上は大きく伸びました。再建を依頼してくださったライザップグループの瀬戸社長にも、結果を出して応えることができたと思っています。
これまでぶつかってきた課題や変革秘話
—— これからぶつかってきた課題や変革の秘話についてお伺いできますか?
岩本 先ほども申し上げましたが、弊社は販売力はありました。しかし、実践するためのプロセスを経営に組み込むという考えがなかったんです。KPIが全くない会社で、売上だけを追いかけている状態でした。
KPIという言葉すら誰も知らなかったんです。それで私はKPIをたくさん持ち込んで、それを判断材料にするんだということを社員に伝えました。マルコの社員はとても真面目ですから、今ではみんな自分のKPIを理解しています。どのような状況でどのKPIが必要かも、今ではわかっています。吸収力がありましたね。
—— それはすごいですね。
岩本 以前はKPIがなかったので、例えば広告を打ったときに、その効果がどうだったのかを数字で比較することができませんでした。我々であればCPOやCPAといった多くのKPIを持っていますので、どちらが良かったかをすぐに判断できます。それを現場に浸透させ、意識するようになりました。今では全てランク付けできます。
—— これまでの業界とは業態が違う部分もあったかと思いますが、問題はなかったのでしょうか?
岩本 全然問題ありませんでした。私はこれまでに6社を経験してきて、商品は化粧品であったり、補整下着であったりと変わりますが、販売すること自体は変わりません。私も最初は補整下着が何かわからない状態で来ましたが、商品を売るということは変わらないので、すごい販売力を持つ会社だとすぐに理解しました。
—— トップが変わって、会社全体がガラッと変わるというのはすごいですね。
岩本 しかし、やることはどの会社でも基本的に一緒です。やるべきことをやれば、業績は良くなっていきます。
今後の事業展開や投資領域
—— 今後の事業展開や投資領域について、差し支えない範囲で教えていただけますか?
岩本 うちの会社は、「美と健康」をテーマにしています。ここは、まさに当社の本質であり、これからもその領域を拡大していきたいと考えています。たとえば、美顔器のような新しい商品を社員が見つけてきたときには、まずテスト販売を行います。試してみないと分からないので、「とりあえずやってみよう」という姿勢を大切にしていますね。
—— 美顔器は成功事例として挙がっていますが、ほかにも同様の展開がありますか?
岩本 最近では「ドクターズサプリ」という商品がそうです。これは、あるドクターとの意気投合がきっかけで生まれた商品で、「内側から女性を美しくする」というテーマを共有しながら開発しました。また、ドクターが水の重要性についてお話されたのをきっかけに、電解水素水生成器にも手を広げています。18万円もする電解水素水生成器が驚くほどのスピードで売れて、現在は在庫切れの状態です。信頼できる商品であれば、価格が高くてもお客様に受け入れられる。それが我々の販売力の強さでもありますね。
—— 投資領域に関しては、どのような視点で展開を考えていらっしゃいますか?
岩本 基本的に当社は「ファブレスメーカー」という立場を取っています。つまり、商品開発は行いますが、実際の生産は外部に委託する形です。これにより、自社のリソースを効率的に活用しながら、高付加価値の商品を迅速に市場に提供することができます。社員が展示会などで見つけてきた商品や技術をもとに、魅力的な商品を次々とラインアップに加えています。特に、高価格帯の商品に関しては当社の強みが発揮される部分ですね。
—— 長期的なビジョンとして、どのような売上や利益を目指していますか?
岩本 3年後には売上を現在の130~150%に拡大することを目標としています。おおよそ250億円から330億円の間を目指すイメージですね。ただ、現在の課題として、人材不足があります。当社の販売員のほとんどは元お客様で、「この商品をもっと多くの人に届けたい」と思って入社してくださる方が多いのですが、今後さらに販売力を拡大するには、採用の仕組みを強化していく必要があります。
—— 人材不足は大きな課題ですね。採用において特別な工夫をされていることはありますか?
岩本 最近では、学生のうちからインターンとして商品に触れてもらう取り組みも始めています。ただ、うちの商品は特にお客様からの信頼が重要なので、知らない人が急に販売員になるのは難しい面もあります。だからこそ、元お客様が販売員になるパターンが一番理想的ですね。商品の良さを実感してくださった方が自然と「私も広めたい」と感じていただけるのは、当社の特長とも言えます。
—— 個人として、将来的に描いているビジョンはありますか?
岩本 「美の総合総社」という理念のもと、より多くの女性に美と健康を届けていきたいと思っています。この「総合総社」という表現は、もともとは「総合商社」の間違いだったようですが(笑)、私はこの言葉が気に入っています。それぞれの商品やサービスを通じて、ひとりひとりの人生に寄り添う。そんな会社であり続けたいですね。
メディアユーザーへ一言
—— メディアユーザー様へ一言お願いいたします。
岩本 我々の今の販売力の強みをぜひご理解いただきたいと思いますし、販売員にご興味がある方はぜひうちに応募していただきたいと本当に思います。今年で47年になる会社ですので、それなりの販売力と商品品質管理があります。
新しい商品を販売するときには、厳しい目で販売するという社風があります。我々が販売する商品は自信を持って提供しています。そういう歴史のある会社ですので、ぜひお客様にもなっていただきたいし、投資していただければと思います。
- 氏名
- 岩本 眞二(いわもと しんじ)
- 社名
- マルコ株式会社
- 役職
- 代表取締役会長