株式会社ビヨンド
(画像=株式会社ビヨンド)
原岡 昌寛(はらおか まさひろ)――代表取締役
愛知県出身。同志社大学経済学部を卒業。2001年、株式会社NOVA(現NOVAホールディングス株式会社)でインフラエンジニアとして従事。2007年、株式会社ビヨンドの創業に参画。その後代表取締役に就任。「共に創り支え続ける」の理念のもと、IT業界の縁の下の力持ちとして24/365のマルチクラウドでのインフラの構築・運用とサーバサイド開発を行う。現在は、代表取締役としてビヨンドの経営全般を担う。
AWSやGoogle Cloud、Azureなどのマルチクラウドに対応した、クラウド/サーバーの設計から構築・移行、24時間365の運用保守、Webシステム開発、Webサービスを手がける。大阪・神奈川・徳島・カナダ・中国の5つの国と地域に拠点を展開し事業をおこなう。

目次

  1. これまでの事業変遷
  2. 自社事業の強みやケイパビリティ
  3. これまでぶつかってきた課題や変革秘話
  4. 今後の事業展開や投資領域
  5. メディアユーザーへ一言

これまでの事業変遷

—— これまでの事業編成についてお聞かせいただけますか。

原岡 弊社は2007年に立ち上げ、現在18期目を迎えています。基本的にはサーバー関連の仕事を中心に行ってきました。技術の進化に伴い、業務内容も変わってきましたが、大きな方向性は変わっていません。もともとはデータセンターを基盤に、フィーチャーフォン時代のウェブシステムのサーバー構築や管理を手掛けていました。その後、スマートフォンの普及に伴い、スマートフォン向けシステムのサーバー管理にシフトしました。さらに、物理サーバーからAmazon Web Servicesなどのクラウドサービスへと移行しました。

加えて、ウェブ開発やAPI、サーバーサイドの開発、自社サービスの業務も広げてきました。2020年にはカナダに拠点を立ち上げ、2024年の2月には中国にも拠点を設け、海外展開も進めています。

—— カナダと中国への展開についてですが、日本以外での事業展開を考えた理由について教えてください。

原岡 カナダに拠点を設立した理由の一つは、弊社のメイン事業として24時間365日のサーバー運用保守があるためです。しかし、夜間の業務にはどうしても夜勤が発生し、エンジニアにとって負担が大きいという課題がありました。

そこで、時差を利用して、カナダのトロントで昼間に業務を行うことで、24時間サポートを実現しました。これにより、夜間の負担を軽減し、質の高い運用を目指しています。さらに、北米での営業活動も視野に入れています。

—— 時差をうまく活用しているわけですね。中国についてはいかがですか。

原岡 中国は、IT系企業が日本に進出しており、クラウドサーバーの領域でもアリババクラウドやテンセントクラウドが日本で営業活動を行っています。ただ、中国のネットワーク事情は複雑で、現地でなければできないことが多いです。そこで、現地法人を立ち上げ、本格的に業務を業務を開始しております。

自社事業の強みやケイパビリティ

—— 貴社の自社事業の強みやケイパビリティについてお伺いしたいと思います。

原岡 弊社の強みは、IT領域における裏方の仕事に徹しているところです。24時間365日、お客様のシステムを支え続けることが、我々の強みだと思っています。ただ、24時間サーバーを監視するだけ、システムを保守するだけであれば、差別化を図ることが難しい仕事かもしれません。

しかし、単純なオペレーションではなく、スキルを持ったインフラエンジニアが、お客様のシステムを本気で運用することは、どこでもできそうで実は難しい仕事です。サーバーの仕事は、キャリアの最初であったり、パートナーに任せてしまうことが多いのですが、我々は運用が一番大事だと考えています。そこに、多くのお客様が我々のサービスに魅力やメリットを感じ、使い続けてくださっています。

—— エンジニアが直接対応することで、何が起きているのかを明確に説明できるのは大きな強みだと感じます。

原岡その通りです。その場で対応できるのは大きな利点です。ただ、運用の仕事は非常に泥臭い部分が多く、24時間365日対応するのはあまり人気のない仕事です。しかし、そこを本気でやっていくのが我々の強みだと思っています。

これまでぶつかってきた課題や変革秘話

—— これまでの取り組みでぶつかった課題や変革の秘話について教えていただけますか。

原岡 ITの世界は非常に動きが早く、自分たちがやっていた仕事が突然なくなることもあります。特に大きかったのは、物理サーバーからクラウドへの移行です。当初はサーバーを一台一台構築し、ネットワークを組んでインターネットで貸し出すという形で行っていました。しかし、AmazonやGoogleのクラウドが登場し、業界全体がクラウドへと移行していきました。新規案件はクラウドの構築や運用が主流となる一方で、既存の物理サーバーの顧客も守らなければならず、両方を並行して行うのが難しかったですね。

—— 物理サーバーからクラウドへの移行は、決断が難しかったのではないでしょうか。

原岡 当時は、物理サーバーの売上や利益がより大きかったため、クラウドに完全に移行するのは難しい決断でした。しかし、私たちの場合、データセンターが閉鎖されることになり、これを機にすべてクラウドに移行することにしました。物理サーバーでの売上が高かったため、一時的に売上や利益が下がることもありましたが、長期的な視点での決断でした。

—— データセンターの閉鎖が移行のきっかけになったということですね。物理サーバーからクラウド運用にシフトする際、どのような課題がありましたか?

原岡 最初は自分たちで小規模なクラウドシステムを構築し、貸し出すことも考えました。しかし、自分たちの強みを考えた時に、物理的なサーバーの構築やネットワーク構築ではなく、サーバーの運用やお客様のサービスを技術的に守ることが評価されていると気づきました。クラウド上でも同じことができると判断し、強みを生かす方向にシフトしました。

今後の事業展開や投資領域

——今後の事業領域や投資領域について教えてください。

原岡 今後の事業展開については、私たちの目標は日本だけでなく、世界で通用するサービスを作っていくことです。現在、カナダや中国で営業活動を始めていますが、海外で営業するのはなかなか難しいです。そこで、自分たちのやっていることをパッケージ化し、新しいサービスを自分たちで生み出して海外で売っていくことを考えています。

例えば北米では、自分たちで新しいデータシステムやクラウドシステムを作り、会社を成長させていくことが求められています。また、エンジニアを一時的に雇い、プロジェクトチームでシステムを開発し、完成させたら解散するといった形が一般的なので、自分たちで作ったサービスを売るという形で展開していくことを考えています。

投資領域については、会社として積極的にファイナンスを行うわけではありませんが、ご縁やタイミングがあれば業務提携や資本業務提携を行っています。また、海外に強みを持つ企業との業務提携を積極的に進めていく予定です。

メディアユーザーへ一言

—— 最後に、メディアユーザーへ一言お願いします。

原岡 私たちは18年間、サーバーの仕事を中心に活動してきました。クラウドやサーバーでお困りの際には、ぜひお声掛けいただきたいと思っています。また、今後は海外展開も視野に入れています。日本だけでなく海外でも何か一緒にやりたい方や、海外進出を考えているけれど方法がわからない方がいれば、ぜひご相談ください。私たちもまだまだ試行錯誤中ですが、一緒に取り組んでいければと思っています。

氏名
原岡 昌寛(はらおか まさひろ)
社名
株式会社ビヨンド
役職
代表取締役

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