三井住友建、経営立て直しへ

三井住友建設は2003年、三井建設と住友建設の合併で発足。両社はバブル崩壊で損失が膨らんだ不動産開発事業の後遺症などで経営難に陥り、旧財閥系同士が身を寄せ合った。

ここ数年、同社を悩ませてきたのが東京都内の64階建てタワーマンション「麻布台ヒルズレジデンスB」建設における施工トラブルだ。社運をかける大型プロジェクトだが、関連損失は2022年3月期から累計で約750億円に上り、経営を圧迫してきた。

2025年3月期業績は売上高3.4%減の4629億円、営業利益10.7%減の75億8700万円、最終利益78.6%減の8億5500万円。営業・最終赤字(22年3月期、23年3月期)から脱したものの、回復への足取りは鈍い。三井住友建設にとってはインフロニア傘下で、早期の経営立て直しにつなげる狙いがある。

旧村上系つながり、伊藤忠が引き取る観測も

三井住友建設をめぐっては同社の業績悪化を受け、同業他社との合併・統合がかねて取りざたされてきた。

その相手先の一つは前田建設を中核とするインフロニア。東洋建設を取り逃がした経緯もあり、三井住友建設の引き受け手候補として名前があがっていた。

もう一つは西松建設だ。西松建設をめぐっては2021年、旧村上ファンド系企業が自社株買いと伊藤忠商事による株式取得に応じて保有する全株式(約25%)を売却し、現在は伊藤忠が19.42%(3月末)を持つ西松建設の筆頭株主となっている。

三井住友建設でも現在、旧村上系企業が筆頭株主であることから、伊藤忠が株式を買い取ったうえで西松建設との統合に動くとの観測もあった。

三井住友建設は上場子会社として三井住建道路を抱える。この三井住建道路については今年4月、複数ある旧村上系企業の一つが5%超の株式を新規取得したことが分かっている。

文:M&A Online