東京地裁、ニデック申し立てを却下

ニデックが牧野フライスへのTOB撤回を発表したのは5月8日。この前日、東京地裁は買収防衛策の差し止めを求めたニデックの仮処分の申し立てを却下。ニデックは対抗措置が実施された場合、「当社に損害を生じさせる恐れがあり、TOBを維持することは著しく経済合理性を欠くことになりかねない」とした。

対する牧野フライスは9日、買収防衛策を中止すると発表した。他の買収提案を検討する時間確保が目的だったため、TOB撤回に伴い、その必要性がないと判断した。

同社は元々、ニデックが5月9日以降にTOBを開始、あるいはニデックより有利な条件での買収の最終的な意向表明書を受領した場合、買収防衛策を廃止するとしていた経緯がある。

牧野フライス株価、2000円超急落

ニデックのTOB撤回を受け、9日の牧野フライスの株価は2000円以上急落した。同社株価はニデックが提示した買付価格1万1000円を上回る高値圏で推移していたが、9080円で取引を終えた。

牧野フライスの株価はニデックが昨年末にTOB予定を公表する前の時点で7000円台。第三者による買収提案が最終的な形でなされない場合、このまま株価が当時の水準に逆戻りする可能性もあり、既存株主にとってはニデックが提示した少なくとも1万1000円での売却機会を逃がしたことになる。

牧野フライス株価が今後、どのあたりで落ち着くのか、それとも新たな買収者への期待で反転に向かうのか。仮にこの先、株価が振るわないようであれば、改めてニデックによる買収を市場が催促する場面も考えられる。

◎ニデックと牧野フライス製作所:主な動き2024年12月27B8~)

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

文:M&A Online