
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年6月4日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
▼3日(火)の為替相場
(1):日銀総裁 半期報告
(2):RBA議事録公表
(3):ユーロ圏CPI 前月から鈍化
(4):BOE総裁 利下げについての見解
(5):米JOLTS求人件数 増加
(6):FRB高官ら インフレについて発言
▼3日(火)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米大統領の反応次第/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
3日(火)の為替相場

期間:3日(火)午前6時10分~4日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀総裁 半期報告
日銀の植田総裁は参院財政金融委員会で半期報告を行った。経済の先行きについて「各国の通商政策等の影響を受けて成長ペースは鈍化する」との認識を示した。金融政策運営については「各国の通商政策等の今後の展開やその影響を巡る不確実性がきわめて高い状況にあることを踏まえ、内外の経済・物価情勢や金融市場の動向を丁寧に確認し、予断を持たずに判断していくことが重要」と説明。また「利下げ余地を作るために無理に利上げする考えはない」との認識を示した。
(2):RBA議事録公表
豪準備銀行(RBA)は5月19-20日に開催した金融政策会合の議事録を公表。政策金利を25bp(0.25%ポイント)引き下げた判断について「国内経済の動きだけでも利下げは正当化できた」とした上で「前回会合以降の世界経済の動向は金利引き下げの必要性を強固なものにした」と記した。またRBA会合後の記者会見でブロック総裁が明かした50bp利下げも検討したことについては、「国内経済と世界貿易政策の動向によって利下げを行う根拠が強化された点では一致したが、50bp利下げを行うには十分であるとは考えられなかった」と記してあった。
(3):ユーロ圏CPI 前月から鈍化
ユーロ圏5月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+1.9%と市場予想(+2.0%)以上に前月(+2.2%)から鈍化して、欧州中銀(ECB)のインフレ目標である2%を割り込んだ。同コア指数は+2.3%で予想(+2.4%)以上に前月(+2.7%)から鈍化した。
(4):BOE総裁 利下げについての見解
英中銀(BOE)のベイリー総裁は英議会の財務委員会で、現時点では段階的な利下げの方針を見直す状況にはないとしつつ、「インフレ率が目標の2%を下回る恐れがあると判断した場合には、利下げを積極的に行う必要がある」との認識を示した。
(5):米JOLTS求人件数 増加
米4月JOLTS求人件数は739.1万件と市場予想(710.0万件)に反して前月(720.0万件)から増加。ただ、解雇数も昨年11月以来の水準となる178.6万件へと増加した。一方で離職数は319.4万件と4カ月ぶりの低水準にとどまった。
(6):FRB高官ら インフレについて発言
米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事は「関税がインフレを助長して雇用を抑制する可能性がある」との見解を示し、その上で「今後の金利調整を検討するにあたり物価の安定が不可欠」と語った。これより前に、アトランタ連銀のボスティック総裁は「アトランタ連銀のエコノミスト調査では、関税に関連した価格上昇は数週間以内に表れ始めることを示唆している」と述べ、「目にすべき進展という意味において、道のりはまだ長い」とし、「インフレに対する勝利宣言はまだしない」との見解を示していた。