ゲームではコンテンツIPの獲得に加え技術力の強化が目的に

大手ゲーム会社でも、海外展開を目的としたコンテンツIPを獲得する動きがみられる。2023年にはセガサミーホールディングスが、人気モバイルゲーム『アングリーバード』で知られるフィンランドのロビオ・エンターテインメントを子会社化。2024年にはサイバーエージェントが『刀剣乱舞』などのIP保有企業であるニトロプラスを子会社化し、ゲーム・アニメ事業の強化を図った。

ゲーム業界では、技術の細分化が進み、新技術への対応を目的としたM&Aも活発化している。大手では、2024年にカプコンが、ゲーム関連のアニメーション制作を手がける台湾のMinimum Studiosを子会社化。家庭用ゲーム事業の長期目標として掲げる年間販売本数1億本の達成に向けた開発力・技術力の持続的な強化を目的とする。また、任天堂はゲームソフトウエアの開発や移植を手がけるアメリカのShiver Entertainmentを子会社化した。豊富な実績を持つ開発スタッフをグループに迎え入れ、技術力の高い移植や開発リソースの確保を狙う。

会社の規模や経営計画によって各社M&Aの目的は異なるが、海外市場の開拓余地は依然として大きく、グローバル展開を見据えたIP創出とそのための技術基盤の確保を目的としたM&Aは今後も継続するだろう。

2025年の動向は?

2025年に注目すべき動きとして、日本テレビ系列の読売テレビ、中京テレビ、福岡放送、札幌テレビの4社の経営統合がある。2025年4月に認定放送持株会社「読売中京FSホールディングス」を設立し、経営統合される予定で、スケールメリットの拡大とコスト効率化を通じて、経営基盤の強化を図る。これら4社はいずれも黒字で政令指定都市のテレビ局である。広告収入が比較的潤沢な地方局を統合することで、財務基盤が一層強化され、読売中京FSホールディングスはM&Aの買い手としての存在感が増しそうだ。一方で、テレビ局や映画会社各社は、人材不足という共通課題に対して、各社各様の戦略をとっており、全ての会社がM&Aを優先して取り組むわけではないが、M&Aは引き続き有力な経営手法となりそうだ。

◎2024年コンテンツビジネス業界の主なM&A

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

文:M&A Online