メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「6/26政策金利決定。景気低迷、インフレ上昇。ペソは月間首位」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.4-7.9

(通貨3位、株価4位)

 (ポイント)
*6月はここまで首位、年間では3位で円より強い
*景気低迷、インフレ上昇で政策金利は?
*5月に僅かに成長、INEGIリポート
*成長、インフレ、債務見通しは
*自動車部品生産額が減少
*メキシコはあくまで正攻法で迎え撃つ
*裁判官選挙、最高裁は与党関係者が支配へ
*USMCAの見直しは秋か
*米との論点=関税、麻薬、移民、LA騒乱、送金課税、USMCA、司法等々

(6月はここまで首位、年間では3位で円より強い)
6月はここまで首位で対円では3.13%高。年初来では1.33%高で3位。

対ドルでは一時約10か月ぶりの1ドル19ペソ割れとなったが、現在は19台(19.0353)へ戻している。
ボルサ株価指数は世界4位で年初来13.24%高。中東緊張で上げ幅を縮小。10年国債利回りは9.27%。
 
(注目の政策週金利は6月26日)
メキシコの利下げは継続すべきか?中銀は意見が分かれている。
中銀は、ロドリゲス総裁の主張通り利下げを継続するか、ヒース副総裁の提案通りインフレ動向の更なる調査のため利下げを一時停止するかを決定しなければならない。

インフレ率の上昇と経済成長の停滞という二重の要因でメキシコ経済への信頼は弱まっ
ているが、中銀は半年ごとの経済安定報告書で前向きな見方を示し、引き続き金利を引き下げる意向を示唆した。

しかし、タカ派のヒース副総裁が利下げを「一時停止」する時期かもしれないと示唆したことから、その戦略に関する合意形成は難しいかもしれない。
 中銀は難しい綱渡りを強いられている。低迷する経済を刺激しながら、高まるインフレを緩和しなければならない。

ロドリゲス総裁は、メキシコが高インフレ期に陥ると結論付けるのは「時期尚早」だと主張した。インフレ率は2022年に8.7%のピークに達したが、それ以降は着実に低下していくと指摘した。
 それでも、食品や石油など変動の大きい項目を除いたコアインフレ率は5月に4.06%に
達し、ほぼ1年ぶりの高水準となった。

ロドリゲス総裁は、おそらく金融緩和政策を継続するだろうと述べたが、その決定は全会一致ではない可能性が高い。ヒース総裁は、インフレの急上昇に対しては慎重な姿勢が必要だと述べた。政策金利を3回連続で0.5%引き下げたことに触れ、
「今こそ立ち止まってインフレデータを分析すべき時かもしれない」と述べた。

ヒース総裁は、自身の姿勢は、ロドリゲス総裁が望む漸進的な緩和とは対照的に、今年
第3四半期までにインフレ率を低下させるというより積極的なアプローチを反映したも
のだと明言した。また、世界経済の変化や米国の貿易政策次第で状況が変化する可能性
があることを認めた。

市場では中銀が次回6月26日の会合で4回連続の0.5%の利下げを実施すると予想されている。
アナリストらは、商品価格の上昇がサービス価格の下落を相殺し続け、コアインフレ率の低下を阻止する可能性があると指摘した。しかし、景気循環によってサービス価格が下落し始めると見込んでおり、その結果、今月下旬にも金融緩和を継続すると予想している。

(5月に僅かに成長、INEGI)
 メキシコの公式統計機関INEGIによると、2025年5月のメキシコ経済は0.1%成長した。このわずかな伸びは、2ヶ月にわたる経済活動の停滞または微減に続くものであり、メキシコの企業と労働者にとって依然として困難な状況が続いていることを浮き彫りにしている。

この成長鈍化の主な要因は、メキシコの輸出品の約80%に米国が新たに課した関税だ。これらの関税は、メキシコの鉄鋼、アルミニウム、自動車のコストを上昇させており、特にUSMCA(メキシコ・メキシコ・カナダ協定)の貿易ルールを満たさない自動車には25%の関税が課せられている。
 メキシコ経済の要である自動車産業は、コスト上昇と将来の販売不確実性に直面している。国内消費の低迷と企業投資の減少も、景気減速に拍車をかけている。

(成長見通し)
メキシコ中銀は現在、2025年の経済成長率を0.1%と予想しているが、これは政府の1.5~2.3%という予測を大幅に下回る。民間アナリストも概ね中央銀行の予測に同調し、1%を下回る成長率を予測している。

2024年の経済成長率は約1.2%と、2023年の3.3%から低下し、成長減速の傾向が広範に見られることを反映している。国内では、消費者支出の慎重化と企業投資の低迷が減速を悪化させている。

(インフレは)
2025年5月のインフレ率(6月24日発表)は4.4%と推定されており、中銀の目標レンジである3%(2~4%)を依然として上回っている。中銀は成長刺激策として政策金利をコロナ時の11.25%から8.5%へ引き下げたが、これらの措置の効果は今のところ限定的だ。