「ヘボ決算」に誰も気づかなかったオルツの株価は10分の1以下に暴落【いづも巳之助の一株コラム】
(画像=「セブツー」より引用)

今日の株価は前日から15%下がって51円。新規上場時に初値570円をマークしたから、株価は1年も経たずに10分の1以下に。循環取引で売上の最大9割が架空計上。どれだけ複雑で巧妙な手口なのか最新の決算短信で見てみたよ。

え?うそだろ?いきなり笑わせてくれました。

・売上総利益率が94.6%  えっ、90%超え?
・宣伝費が46億円  はぁ、売上の76%が宣伝費?
・営業CFが、うひゃ売上増加なのに▲5億円?
・売掛金増加:▲5億円? 現金化してない金額がなんでそんなにあんの?怪しいぞー

というわけで最初に強く思ったのは、この「ヘボ決算」を「内部監査」も「社外取締役」も「社内監査」も「監査法人」も、誰も気がつかないってことあるのか?ということ。つまり、この決算短信を「誰も見てないんじゃないか?」という疑惑だ。監査されていなかった粉飾なんてある.........?

でも結局、誰もチェックしていなかったと思わざるを得ない。それに発表の2月時点で投資家やアナリストも、何でわからなかったのかなー? 謎が謎を呼ぶ、もはや推理小説の領域だ。これじゃオルツは、上場廃止まっしぐらな感じだね。監査法人も行政処分は免れないんじゃないのか。

ところで嫌だけど、この会社の素晴らしい部分を一応語っておくか。複数の人間の会議の議事録をしっかり解析することが、まだ技術的に完成されていないんだ。その中で音声認識AI最先端のオルツが、「同時発話・方言・専門用語」に対応し、誰が何を言ったかを明確にできる特許技術を持ったんだよ。最近、巳之助も「AI GIJIROKU、なかなかいいよ!」という噂を聞いて、この会社に問い合わせをしようか思っていたくらいだ。議事録が早く記録できるようになると、業務が強烈に楽になる企業が、たくさんあるからね。

オルツのようにスタートアップで何十億円も資金調達されている企業は、スポンサーに対して、背伸びしたい気持ちは痛いほどよくわかる。でも粉飾だけは絶対駄目だ。取組先、株主、ユーザーからの信用を全て失い、その業界から一発退場だからだ。上場前にやり直しておけば、どんなにか素晴らしい企業になっていたんじゃないかと思うと物凄く残念な気持ちになった。

追伸:「AI GIJIROKU」の技術は、どこかで存続してくれないのかなあ?

▶巳之助メーター 今回は、測る資格なし
(1ニョロ=素通り 2ニョロ=監視 3ニョロ=今だ!)

■プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。