本記事は、戸田 久実氏の著書『すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる!』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる!
(画像=Khuefa/stock.adobe.com)

成長が見られたとき

ポジティブなフィードバックが相手の心を掴む

「以前より、こんなことができるようになっているね」
「ここがよかったよ」
などのポジティブなフィードバックにより、相手のモチベーションは上がります。
伝えるときに押さえておきたいポイントは、他者と比べるのではなく、その人自身の変化に注目して伝えることです。

上司「前はこんな状態だったけれど、この1カ月でできるようになったね」

上司「誰かの手助けなく、自分ひとりでここまでできるようになったよね」

このように、その人の成長過程に目を向けましょう。
ポジティブフィードバックをするタイミングは、目指す100%に達成したときだけでなく、その人のなかで0から20、20から50と成長を感じたときです。
そうすることで、「この人は、わたしの変化や成長のプロセスを見ていてくれているんだ」と、相手のモチベーションは上がるでしょう。

このように、その人の成長過程に目を向けましょう。
ポジティブフィードバックをするタイミングは、目指す100%に達成したときだけでなく、その人のなかで0から20、20から50と成長を感じたときです。
そうすることで、「この人は、わたしの変化や成長のプロセスを見ていてくれているんだ」と、相手のモチベーションは上がるでしょう。

努力している背景にも目を向ける

ある研修先の職場でマネージャー職のTさんから聞いた事例です。

上司「Mさんは会議で発言するとき、以前は言っている内容がわかりづらいことがあったけれど、先ほど、自分の意見を論理的かつ明確に発言しているなと思ったんだ。端的なわかりやすい発言でよかったよ」

上司「この2カ月で、何か取り組んだことがあったの? 以前と比べてかなり変わったね」

Mさん「じつは、自分の稚拙な発言を直したほうがいいと思って、ロジカルシンキングの講座に週1回ほど通っています」

上司「そんな努力をしていたんだ! だから、よくなったんだね」

このやりとりのあと、ほかの人から、「Mさんが、『Tマネージャーにこんなふうに言われて、わたしの成長を見ていてもらえたのがとても嬉しかったです』と、言っていました」と聞いたのです。成長しているプロセスに目を向けて、タイミングよくフィードバックすることはとても大事だと改めて実感した事例です。

ポジティブフィードバックを伝える際は、相手に、ぜひどんなことに取り組んだのかを聞いてみてください。わずかな変化にも目を向け、成長の背景にある努力を聞き出すことができたら、「もっと成長し続けたい! もっとがんばろう!」と相手のモチベーションアップにつながります。

すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる!
(画像=すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる!)

相手が結果を出したとき

感謝の言葉や相手に共感する言葉を伝える

「ありがとう」という感謝の言葉や「よい結果になってわたしも嬉しい」という共感もポジティブフィードバックのひとつです。
とくに、依頼をしたことがよい成果を上げたとき、
「Aさん、本当にいいパフォーマンスをしてくれたね」
とすぐ相手に伝えましょう。

伝えるときは、「すごいね」「さすがだね」と上から評価する言葉よりも、
「本当にありがとう。Aさんが、こうしてがんばってくれたことがとても嬉しいよ」
というようにアドラー心理学でいわれている「横の関係」の言葉がおすすめです。
「横の関係」とは、相手と対等な関係を築くことを言います。

縦の関係「さすがだね」「やればできるじゃないか」(言われて喜ぶ人もいますが)
横の関係「◯◯さんがしてくれたこと、わたしも嬉しく思います」
◎ 「今回のプロジェクトは、◯◯さんが本当にがんばってきたことだよね」
◎ 「これは○○さんが努力してきたことだよね。本当によかった」

「さすが」という言葉を、下の立場の人が上の立場の人に使うケースが時折見られますが、縦の関係性の言葉にあたるため、快く思わない人もいることを知っておきましょう。
相手のしたことに、対等な目線と共感の気持ちを示す言葉をかけてみませんか。

すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる!
戸田 久実(とだ・くみ)
◎-アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。
◎-立教大学文学部卒業後、株式会社服部セイコー(現セイコーグループ株式会社)にて営業職に就く。その後、音楽業界の企業にて社長秘書を経験。2008年、アドット・コミュニケーション株式会社を設立。2015年、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会の理事に就任、2024年より代表理事を務め、協会運営とアンガーマネジメントの普及に尽力している。
◎-銀行、製薬会社、総合商社、通信会社などの大手民間企業や官公庁で講演、研修講師として活躍。受講者は新入社員から管理職までと幅広い。講師歴30年以上、登壇数は4,500回を超え、指導人数は25万人に及ぶ。
◎-おもな著書に、『アンガーマネジメント』『アサーティブ・コミュニケーション』『アクティブ・リスニング』(日経文庫)、『イラスト&図解コミュニケーション大百科』『アンガーマネジメント怒らない伝え方』『アドラー流たった1分で伝わる言い方』(かんき出版)、『働く女の品格』(毎日新聞出版)など多数。中国、韓国、タイ、台湾でも翻訳出版され、累計25万部を超える。

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すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる!
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