トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「対ドルで3月危機レベルに近づくも静観。インフレ目標設定、関税低い」トルコリラ見通し

(通貨最下位、株価11位)

予想レンジ トルコリラ/円3.4-3.9

*対ドルで3月危機のレベルに近づくも静観
*3月危機でリラ買い介入を行ったが、その後はリラ売りを実施
*対円では4か月以上3.6台で推移
*インフレ抑制へ目標設定
*6月鉱工業生産は改善、GDPに好影響か
*対米関税は15%と比較的低い、他国が利用するか
*外貨保護預金制度=KKM終了か、
*格付け引き上げ、ムーディーズ
*国内政治リスクは高い
*外貨準備は徐々に回復
*経済団体は、利下げとリラ安を要求
*政府は野党を抑圧
*リラ安の主因=トルコの外貨預金が規格外に大きい

(4か月以上3.6台で推移)
 4か月以上3.6台で推移。年間では対円18.33%安、対ドル15.05%安、対ドルでは1ドル40リラ台が続く。イスタンブール100株価指数は、追加利下げ観測もあり年間で11.18%高。10年国債は31.33%。
今年もリラは弱いが、下落幅は縮小しており金利差が為替差損を僅かに上回っている。

(インフレ抑制へ目標設定)
中銀は、インフレ率を来年末までに16%、2027年末には9%に低下させることを目指すと明らかにした。透明性と信頼感の向上に向けた新たな戦略の一環で、インフレ予想レンジとは別に目標を設定した。
カラハン総裁は今年のインフレ率を25-29%と予想しているが、目標は24%に据え置くとした。
目標を達成するため、引き締め的な金融政策スタンスを維持するとし、目標達成に必要な引き締めを確実に行えるような措置を講じていくと述べた。


(6月鉱工業生産は改善、GDPに好影響か)
 6月鉱工業生産は前年同月比8.3%増加し、16か月ぶりの高水準に達した。12のサブセクターのうち、10が前年比で上昇し、2つが下落した。
昨年6月と比較して、ハイテク指数は88.2%急上昇し、資本財は20%上昇、製造業は9.5%増加した。耐久消費財指数は前年比1.4%下落し、電気・ガス・蒸気指数は1.1%下落した。
今年1Qに2%成長したトルコ経済は、第2四半期にはさらに力強い成長を達成すると予想される。

(外貨保護預金制度=KKM終了か、リラ相場の落ち着きで)
 通貨下落から預金を保護する制度=KKMの終了を目前にしている。この制度は推定600億ドルの費用がかかったとみられ、数年前にリラ危機を引き起こした異例の経済政策を放棄する新たな一歩となる。
この制度の対象となった預金残高は、ピーク時の1400億ドルからわずか118億ドルにまで減少した。個人や企業は、為替差損から保護された特別口座にリラを預けることができた。リラは、2021年にドルに対して44%、2022年に29%、2023年に37%、そして昨年は16%下落。

シムシェキ財務大臣は、政府の出口戦略と金融引き締め政策により、KKMの残高が着実に減少していると述べた。総預金に占めるKKMの割合は26.2%から2%に低下した。