3期連続赤字の電通を追い詰める裏目の海外と、独占崩壊の裏にいる「新たなライバル」とは【いづも巳之助の一株コラム】
(画像=「セブツー」より引用)

「電通株を持っていたら一生安泰だなー、いつか買いたいなあ」と、巳之助が憧れていた「電通」。電通マンは、とにかくみんな頭が切れていて、お金持ちだったね。そんな会社が海外で「失敗に次ぐ失敗」とは、正直驚いたよ。これは経営陣の問題だと思うけどなあ。

●どんだけ失敗したの?
今回、業績予想を大幅に下方修正。最終損益は754億円の赤字見通しで、3期連続の赤字だ。 

原因は、
①海外M&Aの失敗:英イージス(約4,000億円)などの買収で発生したのれんが重荷に。欧米市場で収益改善が進まず、数千億円規模の減損を繰り返す。
②海外事業の不振とリストラで、海外を中心に累計1万人規模の人員削減。
③国内市場の頭打ちでテレビ広告は縮小。デジタルではGAFAの直販や大手企業のハウスエージェンシー化が進んでいるね。

こんな三重苦を一気にくらったら、そりゃ大赤字だよ。

●新しい敵が登場した!
電通が戦う相手は、もはや博報堂だけではないんだ。「代理店を通さない広告」を進める新しいプレイヤーが次々と登場したね。

❶Google/Meta/Microsoftの直販&自動運用で代理店いらず。
❷トヨタ・ユニクロ・楽天など大手企業のハウスエージェンシー化で自前運用
❸アクセンチュアなどのコンサルファームが宣伝の打ち手を決めるマーケを精度高く行う
❹YouTuberやTikTokerといった個人クリエイターだよ。広告主が直接契約できるよなあ
❺真打ちは、生成AIで低コストの大量の広告クリエイティブが生まれてしまった

こんなことになってきたので、官公庁や自治体案件も分散発注が進み、電通の独占体制は崩れつつある。

●最悪のシナリオは?
もしこの流れが続けば、テレビ広告市場は現在の半分に縮小し、デジタルも直販・内製化で利益率はさらに低下する。大型イベントもGAFAや個人クリエイターが直接関与する未来が現実味を帯びてきたなと。

その場合、電通の収益は1兆円を割り込み、営業利益は500〜700億円規模に縮小すると巳之助はシミュレーションした。これじゃ、かつて2017年ぐらいに1000億円超を稼いでいた時代の半分以下だね。

●株はどう考える?
下がってるから、今が買い時ーーあり得ないね。
現在、PBRは1倍前後、PERは算定不能。中間配当は見送り、期末も未定だ。

電通復活の条件は「営業利益500億円規模の安定回復」であり、その水準に戻るのは早くても2027年頃だなー。現損処理や配当復活まで2年程度は間違いなくかかる。でもその時、世の中はどうなっているだろう?

▶巳之助メーター 1ニョロ とにかく素通りが吉だよ
(1ニョロ=素通り 2ニョロ=監視 3ニョロ=今だ!)
2年後?その時、投資家にとって「買い時」が訪れるかも......しれない。

■プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。