この記事は2024年6月27日に「第一生命経済研究所」で公開された「都区部版・日銀基調的インフレ率の試算(2025/6)」を一部編集し、転載したものです。

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いずれも前年比伸び率は低下
以前のレポートで試算した①東京都区部版の基調的インフレ率3指標、②日銀が賃金から物価への波及度合いを分析する際に利用した低変動品目CPIについて、本日公表の6月都区部CPIを用いて計算した。
計算値をみると、刈込平均値(全国ウェイト換算)は5月:+2.8%→6月:+2.5%、加重中央値(全国ウェイト換算)は5月:+1.6%→6月:+1.2%、最頻値は5月:+1.7%→6月:+1.4%(いずれも前年比)となった。また、全国版の低変動品目CPIは4月:+1.3%→5月:+1.4%、都区部では5月:+2.1%→6月:+1.9%となった。6月の基調的インフレ率指標は全般的に伸び率が低下。一服感が生じており、物価上昇の波及が強まっていく、という様子ではなさそうだ。従来から日本銀行はトランプ関税の影響見極め、の観点で様子見姿勢を続けているが、物価の観点でも利上げを急ぐ内容ではないだろう。

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(参考文献)
星野(2023)「東京都区部版・日銀基調的インフレ率の試算」第一生命経済研究所 Economic Trends
星野(2024)「日銀の「第二の力」指標を再現してみた」第一生命経済研究所 Economic Trends
川本・中浜・法眼(2015)「消費者物価コア指標とその特性 — 景気変動との関係を中心に —」日銀レビュー・シリーズ、15-J-11
白塚(2015)「消費者物価コア指標のパフォーマンスについて」日銀レビュー・シリーズ、15-J-12
- 尾崎・神保・八木・吉井(2024)「賃金・物価の相互連関を巡る最近の状況について」日銀レビュー 2024-J-
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 星野 卓也