本記事は、岡本 康平氏の著書『“また会いたい”と99%思われる 『人たらし』のコツ100』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

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ネガティブな事柄は1つに絞って伝える

相手に注意するときは、言いにくいことはすべて話して一気に終わらせたいと思ってしまいますが、相手にちゃんと伝わらないことには意味がありません。もし、いくつも並べて言った場合、一つ一つの内容が散漫になったり、わかりにくかったりして、結局相手は理解しないまま同じミスを繰り返してしまいます。ミネソタ大学のアンドリュー・マイナーは、何を伝えるとしてもネガティブな要素がほかのポジティブな要素より多いとその話全体がネガティブな印象を与える、という研究結果を発表しました。

大事なことだけに的を絞ればしっかり伝わる

言いたいことが複数あったとしても、その中で一番大事なことに的を絞り、1回の対話で1つのトピックに集約して伝えるといいでしょう。大事な1つの注意事項がしっかり相手に伝われば、他の注意点もおのずと改善されるはずです。一気にたくさん伝えて相手のモチベーションを下げるより、一つ一つ確実にクリアさせることを目指しましょう。

「実は〇〇さんに伝えたいことが1つあって」と予告しておくと、「1つだけ聞けばいいんだな」と、相手は聞く態勢ができますし、落ち着いて聞く耳を持ちます。

また、「ちょっと言いにくいことなんだけどね……」「もしかしたら耳が痛いことかもしれないんだけど」という前置きのフレーズを入れるのも効果アリです。聞く心構えができて、ショックが緩和されます。

ポイント
相手に指摘したいことや注意したいことが複数あったとしても、一度に全部伝えるのはお互いにヘビーです。言いたいことを1つのトピックに絞ると相手に伝わりやすく、心理的な負担も減らせます。「実はお伝えしたいことが1つあって」と予告してあげると、相手も心構えができて受け取りやすいでしょう。

ミスは断定せず、質問で相手に気づかせる

誰でも相手からはっきりとミスを断言されたら、傷つくものです。言い方によっては、「そんな言い方しなくても!」「何様のつもり?」と逆ギレする人もいるでしょう。それでは、せっかくの指摘も伝わらなくなってしまいますし、関係性も悪くなってしまいます。ヨーク大学のヴィエッタ・ウィルソンによると、ささいなミスでもその後の行動に影響し、ネガティブな影響を与えることがわかっています。

自ら間違いに気づかせるのが優しさ

だからこそ、ミスを伝える言い方には工夫を加えたいもの。「このやり方じゃ絶対に間に合わないよ」「このやり方は非効率ですよ」などといきなり断言するのではなく、「このやり方だと、いずれ○○のような問題が出てくると思うんですが、いかがでしょうか?」「このやり方について〇〇さんはどう思われますか?」というように、質問でミスや問題に気づかせると、角も立たないうえに、相手も自分自身の行いを振り返ることができます。自分自身で「あっ! 間違ってた!」と気づくほうがプライドも傷つかず、反省もより深まります。

相手が自分のミスや間違いに気づいて謝ってきたら、「私もついついやってしまうんですよね」とか、「私も経験あるのでよくわかります」などと共感したり、フォローを入れたりあなたの包容力を見せることで、信頼もさらに増します。相手も引きずることなく、前向きに進めるはずです。

ポイント
相手のミスを注意するとき、「〇〇さん、これは完全にあなたのミスです」などとはっきりと断言してしまうと、角が立ってしまいます。そういう場合は「〇〇さん、先方への確認はされましたか?」「スケジュールはどうなっていますか?」などと質問形式で問いかけると効果的です。それだけで勘のいい人は指摘に気づきます。

言いにくいことはポジティブな言葉で挟んで伝える

相手をガッカリさせることを話さなければいけないとき、その伝えたい内容の前後をポジティブな言葉で挟んで伝えると、ショックが多少軽減されます。それが「サンドイッチ話法」です。

たとえば、相手に企画の不採用を知らせる場合は「〇〇さんのプレゼン、上層部にも評判よかったんですけど、社内的な事情で時期的に厳しいみたいで……。今回は実現が難しい状況ですが、個人的には〇〇さんの企画力は素晴らしいと思っていますので、ぜひ次回はご一緒させていただきたいです!」と伝えます。この場合は、「褒める」→「断り」→「褒める」という流れを作って相手の残念な気持ちを和らげます。

ポジティブな言葉は盛りすぎぐらいがちょうどいい

ケンタッキー大学のデボラ・ダナーによると、ポジティブなことを口にすることで、その人がポジティブになり、周囲にも好影響を与えることがわかっています。

家族に気になる点を指摘したい場合は「洗濯してくれたの? たまってたからうれしい! ただ、このTシャツはこうやって干すと、もっとピシッとなるよ。いや~でも、ホント助かったわ」というイメージです。この場合は、「喜び」→「指摘」→「感謝」というように、ポジティブな感情で挟みつつ、相手の足りない点をやんわり指摘します。少し過剰に感じるかもしれませんが、そのぐらいポジティブな言葉を盛ったほうが、相手はやる気になります。

ポイント
言いにくいことは、その前後をポジティブな言葉で挟むと受け取られ方が変わります。たとえば、「作ってくれた企画書、わかりやすくていいね! ただ、この事例をもっと具体的に書くと伝わるかな。さらに磨き上がった企画書、楽しみにしてるよ!」などと伝えます。相手にとってマイナスの情報を伝えるときに使えます。
“また会いたい”と99%思われる 『人たらし』のコツ100
岡本 康平(おかもと・こうへい)
1965年京都府生まれ。 大学卒業後、大手広告制作会社に勤めるも、月間200時間にもおよぶ残業と職場の人間関係に悩まされ、4年で退職。
両親が営む会社で働き始めるも業績の悪化により倒産、多額の借金を背負う。
転職活動で悩んだことをきっかけに、コミュニケーションや心理学を研究。
その後、不動産会社の営業として再就職を果たし、7年で借金を返済。
現在は、コンサルタントとして企業の人材育成や社内コミュニケーションの活性化支援をライフワークとしている。

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“また会いたい”と99%思われる 『人たらし』のコツ100
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