本記事は、桜井 伸子氏の著書『小さな会社の「温める」商い』(セルバ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

小さな会社の「温める」商い
(画像=bephoto/stock.adobe.com)

神クライアント5つの特徴

神クライアントの共通点をお伝えする前に、1つ大切な前提があります。
これから紹介する5つの特徴は、単に「性格がいい」「優しい」「お金払いがいい」とかいう単純な話ではなく、特別な関係性の中で育まれるものだということです。
それは、お金を払っているから/サービスを提供しているから、という立場の話を超えたところにある信頼と尊重の関係です。

  • 「払っているんだから」ではなく、「この人に払えてうれしい」
  • 「やってあげてる」ではなく、「この人の役に立ててうれしい」

このようにお互いの存在そのものを尊重し合える温度帯。その中であらわれる5つの特徴をご紹介します。

「理念」に共鳴している
神クライアントは、ただサービスを買うのではなく、あなたの想いやビジョンに共鳴してくれています。
「○○さんだから頼みたい」そんな言葉が、価格や内容より先に出てくる人です。
あなたの存在そのものを応援してくれる関係性がベースにあります。

自分事で動ける
教えてもらう側でありながら、「私はこうしたい・こう考えた」を伝えられる人です。
依存せず、放任でもなく、“共に”というスタンスで未来に向かって動ける人です。
自分の人生のハンドルを、自分で持っている人です。

意見は言うが、文句は言わない
建設的な対話はするけど、感情的なクレームや押しつけはしない人です。
相手の立場にも想像力を持って接することができる、心の成熟度がある人です。
関係性の中に「リスペクト」がちゃんと存在している人です。

お金に対して誠実
「払っているのに」ではなく、「この価値に出会えてありがたい」と思える人です。
支払いも気持ちよく、お金を通して信頼を表現できる人です。
高額を払うから神なのではなく、対価を信頼と感謝の交換として捉えているかどうかが鍵になります。

距離感のバランス感覚がある
べったりでも、放置でもありません。
ちょうどいい間合いで、心地よく関われる人です。
相手の時間や状態にも配慮ができ、長期的な関係が築ける土台がある人です。
必要なときに必要な距離で寄り添う柔軟さを持っています。

この5つは、あなたが提供するサービスの質やテクニックだけでは生まれません。
あなた自身の在り方、温度、そして信頼関係の築き方が引き寄せていくものです。
だからこそ、神クライアントとの出会いは偶然ではなく、あなた自身の成熟と覚悟の結果として現れてくるものなのです。

神クライアントはどこにいる?

神クライアントとはなにか、と特徴についてお伝えしました。
ですが、多くの人はこの言葉自体を聞いたことがなく、そもそも存在に気づいていないのではないでしょうか。
神クライアントとは、あなたのビジネスを飛躍的に成長させ、心を支えてくれる特別なお客様のことなのです。
まず大切なのは、その神クライアントの存在を意識することです。意識しなければ、せっかく近くにいても見過ごしてしまうかもしれません。
逆に、「自分にも神クライアントが現れるかもしれない」とアンテナを張るだけで、日々の関わり方が少し変わり、チャンスに気づきやすくなります。

神クライアントとの出会いは決して夢物語ではなく、まずはその可能性に目を向けることから始まるのです。
神クライアントというと「どこか遠い特別な存在」「一握りのトップ顧客だけ」と考えがちですが、実は神クライアントは遠くにいるのではなく、意外とあなたのすぐ近くにいるものです。
今はごく普通のクライアントだと思っている人の中にも、関係性次第で神クライアントに育っていく人がいるかもしれません。
また、昔からの知り合いや、まだ契約には至っていないけれど交流のある相手が、実はあなたの提供する価値に強い共感を持っている可能性だってあります。
灯台下暗しという言葉があるように、人は身近な可能性に気づきにくいものです。新規顧客を探すことばかりに目を向けて遠くばかり追いかけていると、本当はすぐそばに「神様みたい」にあなたを支えてくれる人がいるのに見逃してしまいます。

一度立ち止まって身の回りを見渡してみましょう。最近あまり連絡を取っていない過去のお客様や、何気ない問い合わせをくれた方の中に、「この人はもしかして?」と思うような存在はいないでしょうか。
神クライアントは、案外あなたの日常の延長線上にいるのです。

神クライアントの非常識な見つけ方

では、その神クライアントはどうやって見つけるのでしょう? 関係を深めるにはどうしたらいいのでしょうか?
これまでの常識に囚われない非常識なアプローチをすることです。
ビジネスの教科書どおりに通り一遍の営業トークをしたり、大量の見込み客リストに一斉アプローチしたりするだけでは、神クライアントとのご縁は生まれにくいものです。
そうではなく、相手の心に直接届くような方法で関わることが大事になります。

たとえば、あなたの中に「この方とはもっと深く関われるかも」という予感があるお客様がいたら、思い切って「今、会いに行きます」とばかりにこちらから足を運んでみるのも1つの方法です。
普通なら「忙しいだろうし悪いかな?」と遠慮してしまう場面でも、あえてあなたから会いに行ったり連絡したりしてみてください。
これは一見非常識に思えるかもしれません。しかし、「わざわざ自分のために時間をつくって来てくれた」と知ったお客様は驚き、そして心の距離が一気に縮まります。

電話やメールだけで済ますのではなく、こちらから心を寄せるコミュニケーションは、相手の胸に温かな灯をともします。
非常識といっても決して失礼な行いをするわけではありません。
「常識的にはここまでしないよね」という一歩先の親身さ、情熱を示すということです。
たとえば、ちょっとしたサプライズで感謝の気持ちを伝えたり、ビジネス上の用件がなくても相手の近況を気にかけて連絡したりといった人間味あふれるアクションをとってみましょう。
多くの人がしない一手間をかけることで、「この人は他とは違うな」と感じてもらえるはずです。
誰もやろうとしないその小さな非常識こそが、神クライアントとのご縁を引き寄せる非常識な見つけ方なのです。

小さな会社の「温める」商い
桜井 伸子(さくらい・のぶこ)
株式会社Caldo.代表取締役
大阪で銭湯を営む父から商売の帝王学を幼少の頃から学ぶ。
新卒入社したメガバンクでは営業職でVIP層を担当。
最年少で過去最高の単月2億円の契約を獲得、この年にMVPを受賞。
個人事業主や2-3名の小規模な会社や老舗の二代目オーナーなどに、心の知能指数EQに基づいた客心温を元に接し強固な信頼関係を築き、メガバンク時代に培った洞察力でクライアントの強味や才能を引き出し、時代に左右されないブランディングを構築するプロデュースを展開したことで高単価の顧客が増え続け、遂には月商200万円超えを記録。
その後、コンサルティングなどの依頼が増え、サロンオーナー、セラピスト、鑑定士、子供向け教室運営などの対面事業型の小さな会社のクライアントが急増し、少人数の顧客でも高単価の契約を取れることで、自立した未来を切り拓きたい女性客からの依頼が殺到。
2025年7月にはセルバ出版より初の著書『売り込まない! 少人数の顧客でも高単価の神クライアントをつくる小さな会社の「温める商い」』を刊行。
徹底したリアル戦略で販促体制を整え、予約段階で3刷の増刷実績となり、出版業界でも注目を集める。
出版を通じて、「小さな会社でも豊かに続く温度の商い」を日本全国に広めることを使命とし、著者としても新しい一歩を踏み出している。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます。
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)