この記事は2025年9月10日(水)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「西原宏一氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


FXトレード戦略
(画像=Ameer/stock.adobe.com)

2025年9月10日(水)の午前11時すぎに、現役トレーダーの西原宏一さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

西原宏一
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラーなどを歴任後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。

現在の為替相場の傾向や相場観

JPモルガンのトレーディングデスクは、米金融政策当局の次の一手が米国株の下落を招くリスクがあると警告したようだ。

グローバル・マーケット・インテリジェンス責任者のアンドリュー・タイラー氏は、FOMCが9月18日(木)日本時間未明に市場の予想どおり利下げを実施した場合、「投資家が持ち高を減らす"sell the fact"局面に転じる可能性がある」とコメント。

本日10日(水)午前10時半頃の時点での米国の利下げの織り込み度は96.1%で、ほぼ織り込み済み。この意味においては、利下げ発表後、"sell the fact"で米国株が売られる可能性がある。

逆に考えれば、来週のFOMCまでは米国株は上がると考えられるという見方もできる。

現在の為替相場の戦略やスタンス

株ほどシンプルにいかないのが為替だが、米国の利下げを織り込むという意味においては、次のFOMCまではドルが売られるという連想が働く。

一方、ブルームバーグの報道によると、次回の日銀で利上げの可能性が高いのであれば、「日米金利差縮小期待」で米ドル/円は値を下げるはず。しかし安値は146.31円までで、現在、米ドル/円は147.40円近辺に反発して推移している。

この米ドル/円のドル買い需要がマーケットの話題になっている。ドル買い注文を出しているのは、本邦の輸入企業。

利用しているデリバティブが「TARF」と称されるもの。TARF(Target Accrual Redemption Forward:ターゲット・アクルーアル・リデンプション・フォワード)は、主に輸入企業が使うデリバティブ商品。

このTARF関連のドル買い注文が米ドル/円の145円~146円台に断続的に並んでいると言われており、海外勢のドル売りを吸収している状況だ。

よって米ドル/円は146~148円のプラス・マイナス1円程度のレンジでの持ち合いとなる展開だろうか。

結果、ドル売りであれば、やはり対欧州通貨のユーロやスイスフランが米ドル/円より望ましいと考えている。

ただし、フランスの政治情勢の悪化によりユーロ/スイスフランの上値が重く、スイスフランのほうが有利だと考えている。

SNB総裁がマイナス金利の導入は難しいとコメントしたこともあり、戦略としてはスイスフラン/円を押し目買いで臨みたい。

▽スイスフラン/円 日足チャート

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(画像=羊飼いのFXブログ)

*:当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
「羊飼いのFXブログ」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。