本記事は、杉田 健吾氏の著書『「ひとり社長」の賢い節税 元国税が教えるお金の残し方』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

「ひとり社長」の賢い節税 元国税が教えるお金の残し方
(画像=siro46/stock.adobe.com)

副業こそ法人の設立をおすすめする理由

近年、副業を行う会社員が急増しています。
その中には、本業と同等かそれ以上の収入を得ている人も少なくありません。

先日、ある方に「副業でいくらぐらい稼いでいるのですか?」と尋ねたところ、さらりと「500万円は超えるなあ〜」と答えられたので驚きました。
私が「そこまで稼げるのなら副業のビジネスを法人化しないの?」と尋ねたところ、彼は驚いた様子で「えっ? いやいや会社に勤めているのに法人にできるの? ダメじゃないの?」と返答しました。

このような方こそ、副業として行っているビジネスを法人化することをおすすめしたいのです。
ここまで稼いでいなくとも、副業の利益が20万円を超える場合は、個人で確定申告をすることになります。今後、副業を大きくしていこうと思っている方なら、その時点で法人にしていいでしょう。

会社員でも法人設立は可能

多くの人は、「会社に勤めているのに法人にできるの?」と考えています。
実は、会社員であっても法人を設立し、その会社の社長になることは可能です

法律上、複数の企業に勤めることや、別の会社で社長や取締役になることを禁じる規定はありません。
ただし、就業規則で副業を禁止している会社もあるため、事前に確認することをおすすめします。

社長の給与は0円でもOK

法人を設立する際、多くの人が「社長として給与を受け取らなければならない」と考えています。しかし、実はそうではありません。
社長の給与(役員報酬)は0円でも構いません

実は、世の中には給料をもらっていない社長がたくさんいます。
例えば、会社を設立して事業が軌道に乗るまでは役員報酬を受け取らない経営者や、戦略的に役員報酬を0円に設定する経営者は少なくありません。

設立をおすすめする最大の理由:節税

法人設立をおすすめする最大の理由は、節税効果にあります。
本業の会社から給料をもらい、副業の会社からも給料(役員報酬)をもらっていたら、2箇所から給料をもらっていることになります。
その場合、本業の会社からの給料がかなり高額だとしたら、その給料に副業の給料が上乗せされて、結果として所得税がかなりの額になってしまいます。

所得税は「所得が多ければ多いほど税率が高くなる」という累進課税を採用しています。
つまり、給料が多ければ多いほど税金で持っていかれて、手元にはお金がそんなに残らないということになるのです。
また、個人の事業所得として副業の確定申告をしたとしても、これも同じ個人の所得税の範囲なので、結局は税金がかなり高くなって持って行かれてしまいます。

そこで私は「いっそ法人を作って副業のビジネスを法人の事業としてしまう」「社長は給料をもらわなければいい」というプランを提案しています。
この方法を採用すれば、賢くデザインすることで税金の最適化がかなりできてしまいます。つまり、トータルの税金をかなり節税できるということです。

しかも、法人化すると、個人よりも経費の範囲は大きく広がるという特典もありますし、私がおすすめする旅費規程や住宅規程等の社内規程を存分に活用することもできるようになります。

また、副業を続ける中で生まれる、起業塾の受講料、交流会の参加費、セミナー代。
法人化をしない場合、これらの支出はどこから出ているのでしょうか? そう、会社員としての給料からです。

法人化すれば、これらの支出も経費にすることができるのです。
これは、確定申告の面倒さを差し引いても、十分なメリットとなるのではないでしょうか。

「ひとり社長」の賢い節税 元国税が教えるお金の残し方
杉田 健吾(すぎた・けんご)
元国税職員。ひとり起業家専門のお金と税のコンサルタント、デジタル商品開発と事業自動化の専門家。企業分析の専門家として20年以上にわたり1万社以上の企業に携わり、ひとり起業家から社員数千人の上場企業まで、幅広い経営状態を分析。ロバート・キヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』(筑摩書房)に影響を受け、将来の起業を見据えて税務の世界で実務経験を積む。2016年に独立し、東京・銀座にてコンサルティング会社を設立。5年間で300社以上のひとり起業家のコンサルティングを手がけ、成功事例を創出。国税職員としての知見、税理士の視点の理解、そして自身のひとり起業家としての経験という3つの視点を活かし、実践的な経営支援を展開。自ら実践し成果を上げてきた1人法人による節税手法と事業自動化の仕組みを体系化し、コンサルティング事業、セミナー事業、オンラインコースを通じて多くのひとり起業家をサポート。企業の「守り」となる税務戦略と、「攻め」となる事業自動化の両面から、ひとり起業家の経済的・時間的自由の実現を支援。現在は、より多くのひとり起業家の成功をサポートすべく、オンラインを中心とした支援事業を展開している。

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