本記事は、赤羽 雄二氏の著書『7日でマスター 瞬時(すぐ)に動く技術』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

誰でも仕事は速くなる
私は、すべての仕事はどんどん加速できると考えています。3倍速も夢ではありません。
もちろん、カスタマーサポートで顧客対応をしている時間、営業でお客様と話をしている時間、サービス業で接客をしている時間、あるいは現場で組み立てをしている時間など、直接的業務は別ですが、それ以外は意識し工夫すれば驚くほど速くなります。
私はマッキンゼーに入社したとき、右も左もわからない一介のエンジニアでした。コマツでの経験が6年間、社員留学生制度でのスタンフォード留学が2年間、と社会人になって8年は経っていましたが、はっきり言って仕事は大してできず、部下を持った経験もありませんでした。
ですので、入社当初、マッキンゼーでの仕事のスピード感とすさまじさにびっくりしました。
とうてい課題をこなせず、毎日オフィスを出るのが午前零時を回っていました。過労死をしても不思議のない生活でした。幸い、体は健康でしたし、性格が前向きなので、特につらいというほど苦しみは感じませんでしたが、大変であることに変わりはありません。
エンジニアとして、1ミリか0.5ミリ単位で超大型ダンプトラックのフレームやボディの設計をしていたところから、「経営というのは、右に行くのか左に行くのか、それが言えればいいんですよ」と極めてアバウトな助言を上司からされ、大いにとまどったことは忘れられません。
ただ、それでもいくつかプロジェクトをこなすうちに、マッキンゼーで求められる精度と意味合いがわかり、仕事のスピードは上がっていきました。
8か月後にはプロジェクトリーダー的な仕事も任されるようになり、こんなことでいいのかなと思いつつも、全力疾走できるようになっていた、というのが本当のところです。
その頃には入社時に比べ、確実に何倍かのスピードになっていたと思います。
もう1つの原体験は、14年間いたマッキンゼーを辞めた後です。
それまで多いときにはマッキンゼーでの部下は40人以上いて、多数のプロジェクトを並行して進めていた状態から、ブレークスルーパートナーズ株式会社を3人で共同創業後、部下はゼロ、秘書もいない状況に激変しました。
仕事は大企業の経営改革から、ベンチャーの共同創業・経営支援に変わりました。仕事量も増えたので、日に日に仕事のやり方を見直し、組み替え、スピードアップさせて、コミュニケーションのしかたも大きく変えていきました。
それでも、1日は24時間で、眠る時間を極端に削るわけにもいかないので、仕事のやり方や取り組み姿勢を不断にアップグレードさせていきました。仕事量が増えてほぼ1人で対応するため、3倍以上は速くなっていったと思います。
何が大切な仕事で、何は切り捨てられるのか、と四六時中考えながら進めていきました。
こういうそれぞれ何年かにわたる2度の大きな原体験から、すべての仕事はどんどん加速できるし、3倍速も夢ではないという考えにいたったわけです。
私は試行錯誤しましたが、試行錯誤の過程で得たヒントをお話ししますので、参考にしてぜひ取り組んでみてください。
きっと私よりさらに大きな成果が得られると思います。
スピードアップの4つの鍵
即断即決、即実行、即答に加え、スピードアップの鍵が4つあります。
・メールは即座に書き、即座に返信する
メールを即座に書き、即座に返信すると、すべての仕事が早く進みます。相手との数度のやりとりもあっという間に終わることがよくあります。以前よりは返信の早い人が増えました。メールを半日以上、あるいは数日返事をしない人がいますが、スピードの点でも、相手からの印象の点でも、かなり損をしていると思います。
・単語登録を200語以上しておく
単語登録により、文章を書くスピードが速くなります。登録した言葉を入力するときに速くなるだけではなく、文章がどんどん出てくるようになるからです。テンポが上がりますので、すべてに好循環が生まれやすくなります。
単語だけではなく、URL、日付、電話番号、短文などを単語登録できるので、楽です。
Google日本語入力と併用させます。
・資料作成を半分の時間で終わらせる
仕事のかなりの時間を資料作成に費やしている人が多いと思います。報告書でも提案書でも企画書でも、資料作成はアウトプットイメージ作成アプローチが極めて有効です。
その上で、1度作成したものはテンプレート化すると、2度目以降、さらに30~50%速く作成できます。
テンプレート化というのは、章構成などを残したまま言葉の部分を×××あるいは●●などで置き換えてテンプレートとして保存しておくことです。
・会議を3割減らす
1日会議で埋まっている、という人がよくいますが、これだと仕事のスピードアップはできません。
自分がコントロールできる会議はすべて半分の時間で終わらせるようにしてみてください。1時間だったものは30分で、30分だったものは15分で、ですね。
十分回ります。むしろ、発言が増えるかもしれません。
これで会議を3割は減らすことができます。

経営戦略の立案と実行支援、新組織の設計と導入支援、マーケティング、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリード。マッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となるとともに、韓国LGグループの世界的躍進を支えた。
マッキンゼーで14年勤務した後、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命として、ブレークスルーパートナーズ株式会社を共同創業。ベンチャー経営支援、中堅・大企業の経営改革、経営幹部育成、新事業創出に取り組んでいる。コロナ前はインド、ベトナムにも3年間毎月訪問し、現地企業・ベンチャーの経営支援に取り組んだ。
東京大学、電気通信大学、早稲田大学、東京電機大学、北陸先端科学技術大学院大学講師としても活躍。下関私立大学客員教授。
著書は、44万部突破の『ゼロ秒思考』を始めとして、国内27冊、海外30冊、計138万部。
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