
総括
FX「介入休止と円高でリラ円が反落」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価10位)
予想レンジ トルコリラ/円3.3-3.8
*介入休止と円高でリラ円が反落
*今年は金利差が為替差損をかろうじて上回っている
*OECD、EBRDがトルコの成長見通しを上方修正
*リラ安の大きな要因は膨大な外貨預金
*トランプ大統領 、ロシアからの原油の購入停止を求める
*トルコに膨大なレアアースの埋蔵があるとされている
*野党弾圧で株、債券急落も現在は回復
*トルコの最低賃金労働者の70%が与党に投票しない
*野党CHPの指導部に関する判決が裁判所によって10月24日まで延期されたことを受け市場は好感
*政策金利を40.5%に引き下げ-予想上回る利下げ
*ロシア支援の新原発の稼働が遅れる
*格付け引き上げ、ムーディーズ
(介入休止と円高でリラ円が反落)
3月に続き、9月の野党弾圧で株式市場を中心に金融市場が混乱したが、リラ相場は中銀のリラ買い介入で小動きであった。ただ株式市場が落ち着いてきたために
為替介入も休止したと推測される。介入の原資である外貨準備高の減少が止まったことが裏付けている(外貨準備のグラフ参照)。

(今年は金利差が為替差損をかろうじて上回っている)
今月のリラは対円で0.28%安、月間11位。年間では最弱で19.23%安。ただ今年は金利差が為替差損をかろうじて上回っている。
イスタンブール100株価指数は野党指導選挙の無効が言い渡された後に年初来15%高から5%高に下落したが、15.27%高へ急回復し現在は12.39%。
10年国債利回りは29%台から31%後半へ上昇、その後は乱高下で29%-31%で乱高下している。現在は31.65%。
(OECD、EBRDがトルコの成長見通しを上方修正)
①OECDは最新の経済見通し中間報告で、トルコの2025年のGDP成長率の予測を、6月に予測した2.9%から3.2%に上方修正した。トルコの在庫増加が顕著であること、インフレ圧力が続くと指摘した。2025年の総合インフレ率予想を6月の31.4%から33.5%に引き上げた。2026年については、18.5%から19.2%に引き上げた。
②欧州復興開発銀行(EBRD)は、政治的緊張と不安定な財政状況が依然として大きな脅威であると警告しながらも、2025年のトルコの成長予測を引き上げた。
銀行は最新の地域レポートで、トルコ経済の2025年の成長率予測を3.1%に上方修正。これは5月時点の予測から0.3ポイントの引き上げ。2026年の見通しは3.5%で据え置かれた。金融環境の緩和に支えられ、今後2年間の成長率は3.1%から3.5%の範囲で推移すると予想される。
しかし報告書は、トルコは短期的に多額の対外資金を必要としており、世界市場の変動、資金調達条件の厳格化、政治的不確実性に対して脆弱であると警告した。
トルコは2024年のEBRDの最大の投資先。
(トランプ大統領 、ロシアからの原油の購入停止を求める)
トランプ大統領はエルドアン大統領と首脳会談を行い、ロシアからの原油の購入を停止するよう求めた。「ロシアのプーチン大統領もウクライナのゼレンスキー大統領もエルドアン大統領を本当に尊敬している。彼が望むなら大きな影響力を行使できるだろう」と述べ、仲介役としてのトルコに期待を示した。
トルコはNATOの加盟国である一方、地理的な近さもあり、ウクライナとロシアの双方と緊密な関係を続けていて、トランプ大統領としては、トルコの協力も得て、事態の打開を図るねらいがあるとみられる。
またトルコは今回の米との首脳会談に絡めてボーイング機225機の購入契約を行った。