主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年11月17日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村勉
目次
▼14日(金)の為替相場
(1):英財政悪化懸念
(2):中国経済指標はまちまち
(3):ユーロ圏GDPは速報値通り
(4):FRB高官 意見割れる
(5):米ハイテク株に買い戻し
▼14日(金)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:154円台を中心の動き/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
14日(金)の為替相場
期間:14日(金)午前7時10分~15日(土)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):英財政悪化懸念
英FT紙は13日付で、英国のスターマー首相とリーブス財務相が所得税率引き上げを断念したと報じた。26日の予算案発表を控えて方針転換となる。英政権は「有権者を怒らせ、不満を持つ労働党議員との緊張が高まるとの懸念から、所得税率を引き上げるという従来の計画を撤回した」とのこと。財政悪化を巡る懸念からポンドが下落した。
(2):中国経済指標はまちまち
中国10月小売売上高は前年比+2.9%と市場予想(+2.8%)を小幅に上回った。一方、同鉱工業生産は前年比+4.9%と市場予想(+5.5%)を下回った。
(3):ユーロ圏GDPは速報値通り
ユーロ圏7-9月期域内総生産(GDP)・改定値は速報値と同じ前期比+0.2%だった。同貿易収支は187億ユーロの黒字で、前月は106億ユーロの黒字だった。
(4):FRB高官 意見が割れる
米カンザスシティ連銀のシュミッド総裁は「追加利下げが労働市場の亀裂を修復する効果は限定的だろう」とした上で「2%の物価目標へのコミットメントが一段と疑問視される中で利下げすれば、インフレに長期的な影響を与える可能性がある」と発言。利下げに反対票を投じた10月の連邦公開市場委員会(FOMC)から主張が変わっていないことを強調した。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)のミラン理事はその後、「データは利下げを支持している」とあらためて利下げの必要性を示した。さらにその後、米ダラス連銀のローガン総裁は「12月の会合を見据えると、インフレ率が予想より速いペースで低下している、あるいは労働市場で見られた緩やかな冷え込み以上のものが生じているという説得力のある証拠が得られない限り、追加利下げを支持するのは難しいだろう」と述べた。
(5):米ハイテク株に買い戻し
米ナスダック総合指数が安寄り後に切り返すなど、ここ数日下げが続いていた米ハイテク株に買い戻しが入ると、欧州株安などを背景に一時全面的に買われていた円を売り戻す動きが優勢となった。ドル/円については米長期金利が上昇に転じたことも追い風となった。