本記事は、三浦 真氏の著書『考え方には型がある 「答えのない問い」に答えを出す思考法』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

考え方には型がある 「答えのない問い」に答えを出す思考法
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東大式思考術とコンサルの実践知、どちらか一方だとどうなるか

東大式思考術とは、豊富な知識を土台としながらも、既成概念にとらわれず俯瞰的に、柔軟に発想して本質を見抜く力です。
すでに分かっていることを整理し、そこから新しい課題にも思考を広げていく姿勢。豊富な知識をもとに物事の核心を捉え、わかりやすく伝える力が求められます。

一方、コンサルの実践知とは、限られた時間のなかでフレームワークを活用し、論理を積み上げながら、効率的かつ効果的に課題を解決する力です。
クライアントに対して「どの論点を考え、どう検証し、その結果をどう説明するか」を具体的に構築する実務的な知恵でもあります。
難しいことを難しく話すのではなく、現実的な解決策をシンプルに伝えることが重視されます。

幸いなことに、ここは試験会場ではないため、時間制限も持ち物制限もありません。

東大式思考術は難解な理論ではなく、調べて、整理して、考える力です。ぜひお手持ちのスマートフォン・パソコンを活用して調べてみてください。
また、友人や仲間、上司とディスカッションをするのも有効です。そうしたやり取りを通じて、物事の本質を理解していきましょう。

そして、論点が整理できたら、次はコンサルの実践知です。
フレームワークという「型」を使えば、誰でも論理的に課題を解決する力を身につけることができます。
フレームワークを活用しながら、「知」と「実務」をつなぎ、自分なりの答えを創っていきましょう。

では「東大式思考術」と「コンサルの実践知」、どちらか一方しか持っていなかったらどうなるでしょうか?

まず、東大式思考術はあってもコンサルの実践知がない場合。
知識は豊富で、構造的に物事を理解でき、課題の本質も明確に見えている状態ですが、「何から、どんな順番で、どう実行すれば解決できるのか」がわかりません。
これでは、頭では課題を理解していても、解決策を具体的な計画に落とし込めず、行動につながりません。その結果、望ましい成果も得られない。そんな状態に陥ります。

課題は理解しているのに、解決できない。
これは個人だけでなく日本社会全体にも通じる話です。
今、アメリカや中国、シンガポールなどが成長を続けるなか、日本は実質賃金が上がらず、「失われた30年」と呼ばれる停滞期を経験しています。
少子高齢化、人口減少、社会保障費の膨張、地方衰退、安全保障と防衛体制の再構築、国際競争力の低下……。課題は誰もが理解しているのに、なぜか解決に至らない。多くの人が実感する現象ではないでしょうか。

逆に、東大式思考術がなく、コンサルの実践知だけがある場合。
こちらは、結果的にうすっぺらなコンサルになりがちです。
解決の手順やフレームワークは知っていても、問題の本質を見誤る。
原因を理解しないまま手を打つため、根本解決には至らず、表面的な対応に終わってしまいます。
流れ作業のように提案を量産するコンサルタントを時に見かけますが、何が真の課題なのかを捉えられていなければ、提案も薄くなってしまいます。

目指すべきは、東大式思考術とコンサルの実践知、これら2つの融合です。

答えのない問いに挑むには、東大式思考術という本質を見抜く力と、コンサルの実践知という課題を解決する力の両輪が不可欠です。
この2つが噛み合ったとき、初めて納得のいく答えが生まれます。

考え方には型がある 「答えのない問い」に答えを出す思考法
三浦 真(みうら・まこと)
公認会計士
2006年東京大学経済学部卒業。
2007年監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)東京事務所に入所し、金融事業部にてメガバンクの監査業務に従事。
2012年から2014年にかけて、Deloitte Touche Tohmatsu香港事務所に出向し、日系金融機関の監査を担当。
2015年に独立して公認会計士事務所を開業。
経営者の意思決定を支えるコンサルティングを中心に、経営顧問、社外役員、CFOなどの業務を幅広く行っている。
経営者団体、国立大学、地方自治体などでの講演・講義活動を通じ、経営を実践するための指導、人材の育成に取り組む。
ミッション・ビジョン・バリューを起点に、戦略的思考と組織の成長を支える経営フレームワークをクライアントの実務に実装している。

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