米国戸建事業が今や国内を上回る
その理由は米国事業が大きく花開いたことにある。2017年に東海岸を中心に展開するスタンレー・マーチン(バージニア州)、2020年に西海岸を主体とするトゥルーマーク(カリフォルニア州)、2021年に南部を地盤とするキャッスルロック(テキサス州)の戸建住宅会社3社を矢継ぎ早に買収した。
さらに、これら中核3社を通じて全米各地で中小規模の戸建住宅会社のグループ化を進めてきた。
戸建住宅事業における売上戸数(2025年3月期)は国内5067戸、米国7095戸と、米国が国内をすでに大きく上回り、牽引役となっている。
国内の住宅市場は縮小が続いている。国土交通省が1月末に発表した2025年の新設住宅着工は前年比6.5%減の74万667戸。3年連続の減少で、1964年以降の最低を記録した。こうした中、海外に活路を求めた成果が着実に実を結びつつある。
実際、海外売上高9050億円(同)のうち、米国の戸建住宅事業は6078億円と7割近く占める。米国では年間1万戸が当面の目標だ。
海外の戸建住宅事業についてはオーストラリアでも現地企業の買収をテコに本格展開にアクセルを踏み込んでいる。
プレハブ住宅の先駆者
大和ハウスは会社設立から4年後の1959年、「3時間で建てられる」をキャッチフレーズとした軽量鉄骨住宅「ミゼットハウス」を売り出し、離れの勉強部屋として大人気を博した。ほとんどの部材を工場生産し、現場で組み立てるプレハブ住宅の先駆けとなった商品だ。
1961年にはプレハブ住宅の普及促進を目的に大和団地(後に上場。2001年に大和ハウスが吸収合併)を設立し、自ら大規模団地の開発に乗り出した。またその頃、銀行と提携して業界初の住宅ローンを導入した。
プレハブによる戸建住宅を起点に、賃貸住宅、マンション、商業施設、事業施設などに事業を多角化し、今日にいたる。
身近なところでは、ビジネスホテル「ダイワロイネットホテル」、駐車場「D‐Parking」、スポーツクラブ「NAS」などがおなじみだ。
創業100周年に売上高10兆円へ
大和ハウスはハウスメーカーの枠を超え、「人・街・暮らしの価値共創グループ」を旗印とする。売上規模ではゼネコン最大手の鹿島、不動産トップの三井不動産をいずれも2兆5000億円以上引き離し、住宅・建設・不動産トータルで業界ナンバーワンに立つ。
創業者の石橋信夫氏(1921~2003)は晩年、「創業100周年(2055年)で売上高10兆円」の夢を後継者に託したという。中間地点を過ぎたところで道のりはまだ長いが、その実現を見据えつつ、世界を舞台として多面的・重層的な事業展開が一層勢いづくことになりそうだ。
文:M&A Online