アップガレージグループ.

1999年の創業以来、カー&バイク用品のリユース市場をリードしてきた株式会社アップガレージグループ。全国280店舗以上を展開し、業界トップシェアを誇る同社は、独自の在庫管理システムと「人のために汗をかける」組織文化を強みに成長を続けている。

2023年に就任した河野映彦・代表取締役社長に、再上場の背景や米国展開の勝算、そして時価総額1000億円達成に向けた戦略について詳しく聞いた。

河野 映彦(こうの てるひこ)株式会社アップガレージグループ代表取締役社長
1981年生まれ、東京都出身。明治大学を卒業後、2005年に野村證券へ入社。2012年に株式会社アップガレージグループに入社し、社長室長や事業本部長を歴任。その後、子会社代表取締役社長や同社取締役副社長などの要職を経て、2023年に代表取締役社長に就任した。
株式会社アップガレージグループ
1999年創業。カー&バイク用品リユース専門店「アップガレージ」を中心に、「タイヤ流通センター」など多様な事業を展開。同専門店として全国シェアNo.1を誇り、店舗数は280以上。近年は自転車リユース事業の開始や米国への出店など、グローバル展開にも注力。「Good Mobility, Happy Life」の提供に向けて、さまざまな挑戦を続けている。
企業サイト:https://www.upgarage-g.co.jp/

目次

  1. 創業期のスピンオフから全国280店舗超のシェアNo.1へ
  2. 40人体制のシステム開発が支える「一物一価」の在庫管理
  3. アメリカンフットボールの経験を活かした「役割をまっとうする」組織づくり
  4. 再上場とグローバル展開で目指す「リユースが当たり前」の社会
  5. 米国でのJDMブームとAI活用で加速する時価総額1000億円への挑戦

創業期のスピンオフから全国280店舗超のシェアNo.1へ

── 御社の事業内容とこれまでの歩みについて教えてください。

河野氏(以下、敬称略) 当社の事業は、お客様からカー用品やバイク用品を買い取り、それを店頭で販売することから始まりました。

もともと創業者が中古車販売店を営んでおり、その際に下取りした車に付いていたパーツやホイールを別で販売したところ、非常に多くのお客様が集まりました。

この成功をきっかけに、パーツ販売をスピンオフさせる形で事業化したのが「アップガレージ」の始まりです。その後、カー用品からバイク用品の領域へ進出し、現在は「アップガレージライダース」として約100店舗を展開しています。

カー用品の店舗は現在約160店舗にまで拡大しました。さらに最近では、中古自転車の車体やパーツを扱う事業も開始し、現在は10店舗を運営しています。

── 店舗網の拡大については、どのようなモデルで進めているのでしょうか。

河野 当社の店舗展開はフランチャイズモデルが中心です。全280店舗のうち、直営店は約80店舗で、残りの約200店舗はフランチャイズ加盟店として運営していただいています。

カー用品やバイク用品、自転車などは、適合情報の確認など専門的な知識が求められる商材です。そのため、当社は創業期からシステム投資に注力してきました。

一般的な小売業の在庫管理システムは、数量管理や受発注がメインです。しかし、当社が扱う中古品は「一物一価」であり、一つひとつ状態が異なります。

そのため、買取データと販売データ、在庫日数などを詳細に管理できる独自のシステムを早期に構築しました。このシステムを長年バージョンアップし続けてきたことが、現在の当社の競争優位性を支えています。

40人体制のシステム開発が支える「一物一価」の在庫管理

── 独自のシステムが強みとのことですが、開発体制についても教えてください。

河野 店舗展開を支えるために、車やバイクに詳しい人材の採用・育成はもちろん、システム人材の確保にも力を入れています。現在、社内には約30人のプログラマーが在籍しており、チーム全体では約40人がシステムの開発・運用に従事しています。

自社でこれだけの開発体制を抱えているため、現場のニーズに合わせた改修をスピード感をもって実行できます。この機動力こそが、他社との大きな差別化要因です。

── 河野社長が野村證券から転身された背景は何だったのでしょうか。

河野 私はキャリアを野村證券でスタートし、30歳を過ぎたころにアップガレージへジョインしました。創業者の娘婿という縁もありましたが、親族だからという理由だけで入社を決めたわけではありません。

当時、創業者が描いていた事業の展望と、私が転職にあたって挑戦したいと考えていたことが一致したため、入社を決意しました。

── 入社後、売上高100億円を超えるまでの過程で、大きな転換点はありましたか。

河野 劇的な転換点があったというよりは、やるべきことをコツコツとやり続けてきた結果だととらえています。私は「何をやるか」も大切ですが、それ以上に「やっていることをどこまで突き詰められるか」を重視しています。

今取り組んでいる事業をより深く、こだわりを持って追求する。その積み重ねが業績向上につながり、社会への貢献にもつながると信じています。

アメリカンフットボールの経験を活かした「役割をまっとうする」組織づくり

── 組織文化の面で、河野社長が大切にしていることは何でしょうか。

河野 当社は2004年から新卒採用を継続しており、新卒社員が中心の組織です。採用において最も重視しているのは、優秀さ以上に「いい人」であることです。

具体的には「人のために汗をかける人」というキーワードを掲げています。お客様のため、そして仲間のために動ける文化があるため、私自身もスムーズに組織になじむことができました。

── 大学時代のアメリカンフットボールの経験は経営に活かされていますか。

河野 アメフトの組織運営の考え方は、今の経営に大きく反映されています。アメフトは究極の分業スポーツであり、全員が同じボールを追いかけるのではなく、一人ひとりが自分の役割を全うすることで、チームとして最大のパフォーマンスを発揮します。

監督、コーチ、スタッフ、そして選手。選手の中でもポジションごとに明確な役割があります。この「個々の役割の完遂が組織を強くする」という考え方を、当社の組織運営にも注入しました。

── フランチャイズオーナーの方々に対しても、同じような考えを伝えているのでしょうか。

河野 オーナー様には、常に「目標と目的を明確に持つこと」を伝えています。そして、自分自身でコントロールできることに集中し、それを最後までやり切ることを求めています。

コントロールできない外部環境に悩むのではなく、自分がやるかやらないか、どこまでやるかを決める。この姿勢を徹底することが、結果を出すための近道です。

再上場とグローバル展開で目指す「リユースが当たり前」の社会

── 一度非上場化(MBO)した後に再上場を果たされましたが、その背景を教えてください。

河野 MBOの当時は、株価を気にせず迅速に投資判断を下し、経営スピードを上げるための決断だったととらえています。しかし、私が入社して事業を進めるなかで、当社の事業の公共性を再認識しました。

タイヤの販売などは、車社会の安全を支える重要なインフラの一部です。また、中古品に対する心理的ハードルが下がるなかで、カー用品のリユースを社会の当たり前にしていくためには、パブリックな会社であることが不可欠だと判断しました。

さらに、海外展開を加速させるうえでも、上場企業としての信頼性は大きな武器になります。こうした理由から、再上場という道を選択しました。

── 自動車を取り巻く環境は、EVシフトや自動運転車の台頭などで大きな変革期にありますが、市場の先行きをどう見ていますか。

河野 国内の新車販売台数には限界が見えているかもしれませんが、リユース市場にはまだ大きな伸びしろがあります。

たとえば、マンションや車を中古で買うことは一般的ですが、タイヤを中古で買うという選択肢はまだ十分に浸透していません。

走行距離や使用期間に応じて、中古タイヤを賢く選ぶという提案は、消費者にとっても大きなメリットがあります。私たちは「アップガレージ」という選択肢が、タイヤやパーツを買う際の当たり前の選択肢になる世の中を目指しています。

── EV化によって、マフラーなどの部品が不要になるという懸念はありませんか。

河野 EV化が進めば、確かにマフラーなどの需要は減ります。しかし、EV特有の中古商材が新たに生まれますし、タイヤがなくなることはありません。

もし将来、車が空を飛ぶようになれば本当の壁にぶつかるかもしれませんが、タイヤがある限り私たちのビジネスは成立します。変化を恐れるのではなく、その時々の需要に合わせて商売を最適化するだけです。

米国でのJDMブームとAI活用で加速する時価総額1000億円への挑戦

── 海外展開、特に米国での状況はどうですか。

河野 米国では現在2店舗を展開していますが、非常に手応えを感じています。特に日本車をかっこよく改造する「JDM(Japanese Domestic Market)」文化が、映画『ワイルド・スピード』などの影響で定着しています。

米国には「25年ルール」という規制があり、製造から25年経った右ハンドルの日本車がクラシックカーとして輸入できるようになります。これが現地の車好きの間で爆発的な人気を呼んでいます。

実車を「1分の1のプラモデル」のように楽しむ富裕層も多く、日本製の高品質なパーツに対する需要はきわめて高いです。インフレ傾向にある米国では在庫の価値も上がりやすいため、非常にやりがいのある市場です。

── 今後の成長戦略として、AIの活用やM&Aについては考えていますか?

河野 AIについては、特に買取査定の仕組みに導入しています。機械学習によって、より効率的で精緻な提案ができるよう開発を続けています。

また、時価総額1000億円という目標に向けて、既存事業の成長に加え、非連続な成長をもたらすM&Aも視野に入れています。モビリティ分野でシナジーが生まれるパートナーを常に探している状況です。

私たちは、日本の基幹産業である自動車セクターをリユースという側面から支える、ユニークな事業を展開しています。

当社をウォッチリストに入れていただけると幸いですし、タイヤ交換などの際には、ぜひ一度お店をのぞいてみてください。

リユースという選択肢が、皆様にとっての「賢い買い物」につながることを願っています。

氏名
河野 映彦(こうの てるひこ)
社名
株式会社アップガレージグループ
役職
株式会社アップガレージグループ代表取締役社長

関連記事