この記事は2026年7月9日に配信されたメールマガジン「アンダースロー:日本経済メインシナリオ 2024-2029年」を一部編集し、転載したものです。

アンダースロー
(画像=years/stock.adobe.com)

目次

  1. 日本経済メインシナリオ 2024-2029年
    1. 2024年(実績):日銀の拙速な利上げでマイナス成長に
    2. 2025年(実績):高市政権の誕生で成長期待が高まる
    3. 2026年:地政学上のリスクと政策転換の端境期で一時的な停滞
    4. 2027年:官民連携の戦略投資の始動で構造的経済停滞脱却への動きも再開
    5. 2028年:構造的経済停滞脱却で潜在成長率が上昇
    6. 2029年:高圧経済の維持と財政収支の黒字化

日本経済メインシナリオ 2024-2029年

  • 2024年(実績):日銀の拙速な利上げでマイナス成長に
  • 2025年(実績):高市政権の誕生で成長期待が高まる
  • 2026年:地政学上のリスクと政策転換の端境期で一時的な停滞
  • 2027年:官民連携の戦略投資の始動で構造的経済停滞脱却への動きも再開
  • 2028年:構造的経済停滞脱却で潜在成長率が上昇
  • 2029年:高圧経済の維持と財政収支の黒字化

2024年(実績):日銀の拙速な利上げでマイナス成長に

日銀が拙速なマイナス金利政策の解除と追加利上げを実施して信用サイクルが下押され、グローバルな景気減速もあり、実質GDP成長率はマイナスとなる経済停滞に。輸入物価の上昇の転嫁が進み、物価上昇率の高止まりが、実質賃金の下押しとなり、内需が停滞。

内需は停滞しながらも、名目賃金等の上昇を背景とした日銀の利上げ姿勢継続により、長期金利は上昇。

2025年(実績):高市政権の誕生で成長期待が高まる

グローバルな景気減速とトランプ政権の不確実性の景気下押しが続く。賃金上昇によって、消費は緩やかな回復基調。日銀の利上げが一時休止することで、設備投資のサイクルは堅調に。実質GDP成長率は0.5%程度の潜在成長率を上回る。緊縮的な石破政権の退陣後、高市政権の経済政策の方針は積極財政に変化し、大規模な経済対策を実施。

日銀の利上げ、高市政権の積極財政と成長期待の高まりで長期金利、超長期金利は大きく上昇。株式市場も、緊縮的な石破政権による石破ディスカウントが剥落し、高市政権下での成長期待と円安サポートで上昇が続いた。

2026年:地政学上のリスクと政策転換の端境期で一時的な停滞

グローバルな景気減速とトランプ政権の不確実性、地政学上のリスクによる原油高と供給停滞の下押しの中、日銀が拙速な利上げをすることで、潜在成長率を下回る成長となり、構造的経済停滞からの脱却への動きは一時的に停滞する。高市政権は、6月の骨太の方針で、官民連携の戦略投資拡大の積極財政を推進し、2027年度の積極財政の政府予算が執行されることで、高圧経済を目指す。2026年はその端境期にあり、推進力は限定的となる。政策経費は当初予算に計上され、補正予算は緊急時のフレキシブルなものとなる。

ネットの資金需要の回復に伴う安定的な名目成長への期待で、リスク資産は堅調な推移が続く。成長期待を先んじて織り込んだ長期、超長期金利は緩やかな上昇のなか、2027年以降の中立金利に向けた利上げサイクル入りを織り込んでカーブは徐々にフラット化へ。

2027年:官民連携の戦略投資の始動で構造的経済停滞脱却への動きも再開

官民連携の戦略投資の始動で、企業貯蓄率の低下がみられる。ネットの資金需要がしっかり回復する。企業の競争がコスト削減から投資に明確に変化し、設備投資のGDP比率はなかなか到達できなかった18%を明確に上回る。実質賃金の上昇が、消費の回復につながる。日銀は中立金利に向けて、半年に1回の利上げを継続。実質政策金利はゼロ近傍が維持され、構造的経済停滞からの脱却を支援。

ネットの資金需要の回復と名目GDPの持続的成長でリスク資産の上昇は続き、日経平均株価は7万円台が定着。日銀の利上げに伴い長期金利も上昇するものの、利上げの到達点が意識され始めることでカーブのフラット化が続く。

2028年:構造的経済停滞脱却で潜在成長率が上昇

内需の拡大によって、実質GDP成長率は1%台半ばの水準へ加速。企業貯蓄率が正常なマイナスに転じて、企業の資金需要が回復し、構造的デフレ圧力を払拭し、物価上昇率も目標の2%に安定的に達し、予想インフレ率もアンカーされ、構造的経済停滞を完全脱却。政策金利は2%まで上昇し、実質政策金利はマイナスを脱する。

デフレ構造不況の脱却で名目GDPの成長が持続し、日経平均株価は7万円台後半で推移。金利は、利上げが到達点に近づくことでカーブはさらにフラット化。

2029年:高圧経済の維持と財政収支の黒字化

企業の期待収益率・成長率の上振れで潜在成長率が1%程度に上昇。日銀の政策金利が2.25%に達したあと、若干の実質プラスの水準で利上げを止めることで、景気がやや過熱気味の高圧経済となる。円高は景気を下押すが、実質GDP成長率は引き続き1%を上回る。経済規模の持続的拡大の予見可能性によって企業の投資が拡大し、名目GDPの拡大によって税収が増加し、財政収支は赤字を脱する。

実質成長率は安定化しながらも、十分なマイナスのネットの資金需要は維持され、名目GDPの拡大でリスク資産やインフレ期待の下振れは回避される。

日本経済見通し

日本経済見通し
日銀とCACIBのGDP、CPI見通し
(注:物価見通しは2027年4月から食料品消費税ゼロ%を前提
出所:日銀、クレディ・アグリコル証券)

会田 卓司
クレディ・アグリコル証券 東京支店 チーフエコノミスト
松本 賢
クレディ・アグリコル証券 マクロストラテジスト

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