相続税対策で注目の賃貸アパート経営 サブリース契約時の注意点は


相続税改正でサラリーマンも相続税発生の時代へ

2015年1月1日より改正相続税法が適用された。従来、基礎控除額は「5,000万円+法定相続人×1,000万円」であったのが、改正後は「3,000万円+法定相続人×600万円」となった。つまり、今までは夫婦に子供2人といった家庭では8,000万円の控除額があったのに対し、改正後は4,800万円の控除額しかなく、それを超える財産を持っている人は超える額に対して相続税が発生することになった。そうすると自宅と退職金だけでも5,000万円を超えるケースがあり、今まで相続税とは無縁だったサラリーマン家庭にも相続税が発生することが予想されている。

改正前、相続税を納めている人は全国平均で4%程度、東京都内では9%程度であった。しかしながら、土地建物が高い東京都内では、今年からは18%程度の人が相続税の対象となることが予想されている。


節税効果が高い賃貸アパート経営 相続税評価額がこれだけ圧縮

相続税対策と不動産は切っても切れない関係にある。相続時に不動産は路線価で評価されるため、現金を不動産に変えるだけでも相続税対策になるからだ。通常、地価公示価格は時価を表すといわれているが、路線価はその地価公示価格の80%程度である。そのため、たとえば1億円の現金を持っている人が1億円の土地を購入すると、8,000万円で評価されるため、2,000万円分資産を少なく見せることができる。

その不動産による相続税対策のなかでも最もポピュラーなのが、賃貸アパートの経営だ。たとえば相続税評価額1億円の土地と現金1億円を所有している人がいるとする。その際、現金1億円に借入金1億円をプラスして2億円のアパートを建築するケースを考える。

まず、土地の評価額は貸家建付地評価となるため8,200万円程度(借地権割合を60%として計算)に減額される。次に建物評価額は固定資産税評価額で評価されるため、新築価格の60%程度となり1.2億円程度になる。その建物には賃借人がいることによりさらに▲30%の借家権割合を控除できるため、1.2億円×0.7=8,400万円の評価額となる。

そして最後に借入金1億円も控除できる。その結果、土地8,200万円+建物8,400万円-借入金1億円=6,600万円の評価額となる。これは、元々あった土地1億円と現金1億円の計2億円の資産からは1.34億円もの相続税評価額を減額していることになり、相続税率が40%の人であれば、何もしない人よりも5,360万円も節税していることになる。