依然として底が見えない原油価格ではあるが、1月23日サウジアラビアで原油の減産に反対を唱えていたアブドラ国王が死去したため、この減産体制にも不透明感が漂いだした。
この報道の直後に原油価格が約3ドルほど急騰する場面が見られた。後継はサルマン皇太子が新国王となることが発表されている。
国王が変わっても石油政策は不変の見通し
確かに故アブドラ国王が原油の減産に強いイニシアチブを持っていたことは確かだが、OPECの減産拒否の決定はクウェートやアラブ首長国連邦など他の主要国も強くエンドースする内容であり、今回の世代交代だけをもってしてこの状況が変わると見る専門家は少ないのが現状である。実際外部の専門機関によると中東圏の場合20ドルでも採掘コスト割れは起こさないという見通しであり、他の国の減産を引き出すためにはまだまだ下落を受け入れる可能性があるとの指摘もではじめている。
原油価格の底は米国のシェールガスの減産や撤退が契機となる可能性も
世界的に注目されているのは、原油価格がどこで底打ちをするかだが、今のところロシアや米国を含めて減産を口にする産油国はなく、需給のバランスからいえばまだまだ下値を模索する可能性は残っている。またサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は昨年末1バレル20ドルでも減産は利益にならないと発言しており、投機筋がさらに下値を試す動きも残されている。そんな中で一旦の底値が形成される要因となりそうなのが米国のシェールガスの減産や採掘中止だ。自給自足を目論む主要消費国の米国でのこの動き出始めるときが一旦の底値を形成する可能性は高く、おそらく年央にはそうした動きが顕在化すると見る専門家筋は多い。