そもそも原油価格下落に影を落とす米国のボルカー・ルール

ボルカー・ルールは、銀行業に従事する組織とその関連企業による自己勘定取引(proprietary trading)に対して重大な制約を課す法律で、いよいよ本格的な稼動が見込まれていることから国内外の金融機関がこのルールにあわせて昨年あたりから本格的に投機的な市場での売買より大幅に撤退を始めていることから、原油価格の投機的な売買を大幅に減少させることとなり需給ベースの価格へと下落を始めている。実際原油に限らず、その他のハードコモディティ、ソフトコモディティ全般にこうした動きが出始めており、投機から実需にシフトしつつあることから、原油価格が90ドル以上に戻すことはもはやありえないという見方をする向きも多い。


もはやOPECがカルテルで原油価格をコントロールする時代は終焉

これまで希少資源としての原油価格は、よくも悪くもOPECがカルテルによりその価格をコントロールしてきたことは間違いない。しかし20世紀に想定されていたより明らかに多く原油が算出されていることに加え、シェールガスが出現したことにより、需給のバランスは完全に崩れることとなっている。

しかも新興国の需要が予想以上に落ち込み、かつ省エネで代替エネルギーを利用した設備や輸送用機器が一気に市場に投入される局面にあっては、これまでのような主要産油国主導で価格をコントロールする時代は既に終焉を迎えているといわざるを得ない。


ロシア、ベネズエラ、米国シェールガス企業のデフォルトがさらなる変化要因

こうした中で既に現状の原油価格に耐えられない国や産業がいよいよ見え隠れし始めている。ロシアやベネズエラのデフォルトの可能性が注目され始めているが、特にこの中でロシアがデフォルトとなればその他の国への波及効果も大きく、当然米国のシェールガス事業やそれと連動したエネルギー関連ジャンク債の破綻の引き金となる可能性も高く、原油関連でのこうした国々の動向には十分な注意が必要な状況である。

(ZUU online)

【関連記事】
米住宅着工件数7年ぶり100万件超え 拡大続く米住宅市場の見通しは?
相次ぐ日系不動産の米国展開推進、三井不動産が米NY中心地の再開発に参画
ギリシャ総選挙どうなる?EU離脱ならリーマン以上の金融不安
年間52,596円の日経新聞が無料?ネット証券は『情報の宝庫』
10万円以下でも買える?2015年の目玉LINE株を上場前に買う2つの方法