相続税改正、相続税路線価を絡めた節税対策 まずは自分の資産の見直しから

2015年1月より改正相続税法がスタートを切った。これに伴い、相続税の負担が増えるという認識は何となく広まっているようだ。ただ、何がどのように厳しくなったのかを知らない人は多い。それもそのはずで、相続税というのは、昨年まで納税者は日本の人口の中で4~5%のだけであった。そのため殆ど多くの人が相続税とは無縁のため、知る必要もないというのが実態だった。


相続に詳しい税理士先生ばかりではない?

また、実は税理士も相続税を専門にしている先生は少ない。4~5%の納税者の一度きりの税務申告を扱うよりは、企業の顧問税理士になって継続的な顧問料をもらうビジネスモデルの方が得だからだ。税理士と言っても特に不動産の事を専門に勉強してきた訳ではないので、相続は一般的に誰が詳しいのか分からないというのが実態だ。

しかしながら、今回の改正により、今まで相続税に無縁であった人達が他人事でなくなる可能性が出てきている。東京都はもともと土地代が高いため、従来から納税者は9%程度存在した。ところが2015年の改正からは18%くらいの人が納税者になる可能性が出てきている。そのため、今回は改めて、相続税の計算方法の基礎からもう一度おさらいすることにしよう。


まずは、相続税の計算式を理解

まず相続税は「課税価格×税率-控除額」で計算される。ここで、税率と控除額については、累進課税制度を取っていて課税価格が1億円以下なら税率30%で控除額は700万、課税価格が3億円以下なら税率45%で控除額は2,700万円と機械的に決まっている。この「税率」と「控除額」については法律で決まっていることなので議論の余地がない。問題になるのは「課税価格」なのだ。ここが世に言う相続対策次第で、増えたり減ったりしてしまう。

課税価格を算出するにあたり、一番単純なのが被相続人の財産が現金のみの場合だ。死んだ時に財産を現金のみで5,000万円持っていたケースを考えてみよう。課税価格を計算するために、遺産額5,000万円から基礎控除額というものを控除して課税遺産総額を算出する。式で言えば「5,000万円-基礎控除額=課税遺産総額」だ。今回の改正ではこの基礎控除額が変わった。