日本人投資家にとって、南アフリカ共和国は距離的にも政治的にも、そして人的な交流という意味でも遠い国だ。しかし、FXなど外貨投資の世界ではまったく事情が異なり、多くの個人投資家が南アフリカの通貨である南アフリカランドへの投資に関心を持っている。なぜ、南アフリカランドにここまで関心が集まり、そして買われるのか。その理由と今後の展望について考察してみたい。


依然として強いコモディティ通貨

2015年の世界経済は、大幅な原油安というトピックから始まった。これにつられる形でほかの天然資源価格も下落し、こうした資源が経済の基盤となっている国の通貨(コモディティ通貨)が軒並み下落する局面があった。

しかし、こうした地下資源は無尽蔵にあるわけではなく、しかも経済活動に欠かせないものばかりだ。一時的な下落はあっても、最終的には資源に依存している経済が存在する限り、南アフリカランドを含むコモディティ通貨(資源国通貨)は強いという認識がスタンダードだ。

南アフリカランドの2005年から2015年までの10年チャートを見ると、2006年に20円に迫る最高値を付けた後に下落を続け、8円を割ったところで下げ止まっている。2009年の安値水準から持ち直し、10円から12円前後を推移する状況が5年ほど続いており、このあたりがランド円にとって居心地のいい水準と見られる。

今後、また資源価格が上昇する局面が大いに考えられるが、その時には15円、20円という高値水準に戻す可能性もあり、投資妙味は依然として高い。


南アフリカ経済の2015年展望は

南アフリカは金の産出量が世界一の鉱物資源国でもある。近年、中国やインドなどの新興国からの金需要が増加したために金価格も高騰。南アフリカランドは金相場との連動性が高いため、その影響を受け、追い風状態である。ほかにもダイヤモンドやプラチナなど豊富な天然資源と富裕層の増加による内需拡大が経済発展の基盤となっている。鉱山ストライキによる経済混乱や電力供給不足などの影響でここ数年は低調だったが、2015年はストライキの終結やインフラ投資などで回復が見込まれている。