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(写真=Thinkstock/Getty Images)


活発化するアパート建設営業

2015年の相続税法の改正による相続税の大幅な増税に伴い、賃貸アパートのハウスメーカーの営業が活発化している。所有の土地に賃貸アパートを建てることによって資産の評価額が下がり、相続対策になるからだ。賃貸アパートを建てると、建物については貸家評価となり30%が減額され、土地については貸家建付地評価で約20%が減額される。更に借入金と併用することで、評価額が下がり節税に繋がる訳だ。

土地オーナーへは、様々なハウスメーカーから提案が持ち込まれる。基本的には自社製品を売りたくて提案してくる訳であるから、言う事が皆違う。そのため誰を信じて良いのか分からなくなってしまうオーナーは多い。ハウスメーカーもそれぞれ自分たちの工場で作りやすい部屋の間取りというものがある。例えばオーナーがもう少しワンルームの割合を増やしたいと思っても、なんとかファミリー住戸を多く建築させようと強引な提案をしてくるメーカーもいるようだ。


十分に検討できない建築費

まず、計画の入り口段階で、ハウスメーカーは何通りもシミュレーションを提示してくる。金利や家賃等、様々なバリエーションの計画は出すものの、肝心の建築コストを減額するような提案は無い。通常、プロの開発業者であれば、何度も仕様変更を行ってコスト圧縮に努めるが、個人の場合はそのプロセスが少ない。そのため建築費がほぼハウスメーカーの言い値で決まってしまう。


サブリースでも不安

竣工後の段階ではサブリース契約が問題となる。サブリースであれば、家賃滞納や空室のリスクが無いため、オーナーにとっては安心だ。大手のハウスメーカーの場合、子会社に管理会社も有しているため、一棟のサブリース契約もしてくれる。ここで注意しなければならないのが、サブリース契約でも賃料の減額請求が有り得るということだ。

サブリースの賃料減額請求については、最高裁判所でも判例で認めており、今では普通に行われている。借地借家法の世界において借家人は非常に守られているのを知っておく必要がある。例えば10年間家賃を固定するといった家賃の不減特約も借地借家法32条1項の規定により無効とされる。


市場価格と借入金残高の逆転

一般的に、賃貸住宅は築5年を経過すると賃料が下がる。軽量鉄骨や木造のアパートでは、築20年も経つと古さが相当目立つため、かなり賃料が下がってしまう。また、築20年あたりからは、修繕費も増え空室も目立ち始め、当初のシミュレーション計画とは大幅に違ってくる。売却を試みようにも、売却額より借入金の残債の方が多いため、売るに売れなくなるパターンが多い。


リノベーションしにくい構造

築20年以上のアパートは間取りが古臭くて入居されないケースが多い。そこで空室対策のために大規模なリノベーションを行おうとしても、軽量鉄骨や木造アパートの場合は柱も多く抜本的なリノベーションができないことが多い。鉄筋コンクリート造であれば、間取りを変えるような大規模リノベーションは可能であるが、建築費が高くなるため個人の相続対策としては軽量鉄骨や木造の方が多いのが実情だ。

シェアハウスへのリノベーションも柱が邪魔して魅力的な共用部が作れないことから、軽量鉄骨や木造では諦めるパターンも多い。


立退料もネック

更に、最終手段として更地にして売却しようとしても苦戦する。安い賃料がネックになるのだ。借家人を退去させるには立退料が必要だ。この立退料の考え方であるが、現状の賃料と移転先の賃料の差額の1~2年分が目安となる。

そのため、現状の賃料が安ければ安いほど、移転先との賃料の差額が膨らんでしまうため、立退料が高くなってしまうのだ。借家人のために下げた賃料も、いざ退去させようとした場合、恩を仇で返される結果となってしまう。そのため空室を恐れるあまり賃料を下げ過ぎると、最後の出口が余計に危うくなってしまうのだ。

このように、出口を見失ってしまった中古アパートは数多く存在する。瞬間的な相続対策も重要であるが、長期にわたるアパート経営をしっかり考えることも重要だ。いつの間にか相続人に負の資産を持たせてしまうことが無いように、出口を見据えた相続対策をしたい。迷ったときは、シミュレーション表だけではなく、近所の古いアパートをよく見て考えるのが良いだろう。(ZUU online 編集部)

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