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さて、今回のテーマは「法人化による相続税対策の検討」です。

多くの不動産オーナー様にとって、相続税対策は悩みの種ではないでしょうか?よく「相続が三代続くと財産がなくなる」と言いますが、これは非常にうまく相続税制度について説明した言葉だと思います。
日本では相続した財産の金額が多ければ多いほど税率が高くなる「累進税率」になっていますので、不動産などの高額な財産の場合は、きちんとした対策を立てておかないと相続を繰り返すごとに資産が目に見えて縮小してしまうのです。

さらに不動産の相続が厄介な理由として、高額な税金が必要になるにも関わらず現金化が難しいという点が挙げられます。相続しても現金が支払えないとなると、相続した財産を手放す事にもなりかねません。先祖代々受け継いできた土地や先代が苦労を重ねて管理してきた建物などでしたら、これは非常に心の痛む選択でしょう。

このように様々な問題の付きまとう相続税対策ですが、今回は特に個人事業主として不動産オーナー業を営まれている方の法人設立による相続税対策についてご紹介したいと思います。

【参考】
不動産オーナーの経営事情vol.1 〜切っても切れない税金の話〜
不動産オーナーの経営事情vol.2 〜事業承継問題〜


◎法人化検討に適した条件


まず、法人化を検討するにあたって適した条件とはどのようなものなのかを見て行きましょう。ポイントは次の2点です。

①不動産所得にかかる税金が高い

相続税対策として賃貸物件を建てたものの、経年によって節税効果が薄れてしまっているケースです。
減価償却や支払利息が減少し経費が減少すると、結果的に所得の増加が引き起こされます。個人事業主の場合であるとこれらは個人の財産の増加と見なされますので、相続税も高額になってしまうのです。
個人の財産を会社の資産に移す仕組みには後ほど触れますが、法人化により個人財産の増加を止める事ができるのがポイントです。

②所得を分散できる親族がいる

次の条件は、所得を分散できる親族がいる事です。では所得を分散すると具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

ポイントは所得の給与化・役員報酬です。まず給与は経費として見なされますので、所得を給与化する事で税金の圧縮が可能になります。また、経営を引き継いでいる親族に役員報酬を支払えば、相続財産の評価額を減少させる事に加えて合法的な財産移転ともなるのです。財産移転という点では親から子へ直接贈与する方法もありますが、この方法ですと贈与税が発生します。しかし業務を行った上での役員報酬制度を利用すれば贈与税制度は適用されませんので、次世代に上手に財産移転を行う事が可能なのです。

以上の条件を満たしている場合は、法人化をご検討頂く事で相続税の圧縮が見込めると言えるでしょう。

では実際に法人設立から相続まではどのような流れになるのでしょうか?次はその辺りに焦点を当てて見ていきましょう。